テラーノベル
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藍林檎学園の広大なグラウンドは、初等部から高等部までが勢揃いする「体育祭」の熱気に包まれていました。
中等部1年生の元貴と滉斗は、出番を終えて観客席の最前列陣取り、これから始まる高等部4年生の「借り人競争」を今か今かと待ち構えていました。
「りょうちゃん、頑張れー!!」
元貴が精一杯の声を張り上げ、手に持った青い旗を振ります。
ピストルの音と共にスタートした涼架は、持ち前の身軽さでトップ集団に食らいつき、コース中央に置かれたお題の紙を拾い上げました。
「えーっと、お題は……。あ、これだ!」
紙を見た瞬間、涼架の顔がパァッと明るくなりました。彼は周囲を見渡すこともなく、一直線に中等部の観客席に向かって全速力で走ってきます。
「……え、こっち来るぞ?」
怪訝そうな顔をする滉斗の前に、涼架が勢いよく飛び込んできました。
「滉斗! ちょっと貸して!!」
「えっ、ちょ、涼架さん!?」
涼架は驚く滉斗の腕をガシッと掴むと、そのままの勢いでゴール地点へと引きずっていきました。
「ゴール!!」
実況の声が響き渡る中、涼架と、訳が分からず連れてこられた滉斗がテープを切りました。審判の先生がマイクを向けます。
「藤澤君、お題は何だったかな?」
涼架は満面の笑みで、クシャクシャになった紙を広げて高く掲げました。
そこには大きく、**【かっこいい人】**と書かれていました。
「僕の自慢の幼馴染! 中等部で一番かっこいいのは、この子なんです!」
全校生徒の視線が、トラックの真ん中に立つ滉斗に集中しました。
「……っ、何させてるんですか、涼架さん!」
耳まで真っ赤にした滉斗は、顔を背けながらも、どこか嬉しそうな涼架を突き放せずにいました。
観客席で見守っていた元貴は、隣のクラスの女子たちが「え、あの中等部の子、超イケメン……」「今の高等部の先輩とのコンビ、最高じゃない?」と騒いでいるのを耳にします。
(ふふん、そうでしょ。ひろとは世界で一番かっこいいんだから!)
元貴は少し誇らしげに胸を張り、戻ってきた二人を最高の笑顔で迎えました。
「おかえり、ひろと! りょうちゃん! 二人とも、すっごくかっこよかったよ!」
「……もときに言われるなら、まあ、いいか」
滉斗はまだ赤みが引かない顔で、元貴の頭をぽん、と撫でました。
「あはは! 滉斗が照れちゃって、連れてくるの大変だったよ〜。でも、お題を見た瞬間、滉斗の顔しか浮かばなかったんだもん」
涼架は天然な笑顔でそう言いながら、三人の絆を再確認するように、元貴と滉斗の肩を抱き寄せました。
秋の青空の下、三人の笑い声が賑やかなグラウンドに溶けていきました。
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コメント
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この作品とても大好きです!😆