テラーノベル
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「何を捨てるかで誇りが問われ、何を守るかで愛情が問われる。」
-スティーブ・ジョブズ
ザーザーと大きな音をたてる雨水、その雨によりまるでたくさんの小魚が跳ねているように見えるアスファルト。そして雨の日特有の草木が湿気った自然の匂い、嵐とでも例えれるような風と雨音で普通に会話するのも辛そうだ。
「……傘一つで行けんのか…これ」
「最低でも服はびしょ濡れなんじゃ…」
「最悪だ……髪も服も台無しじゃねぇかよ!」
「…いいから、さっさと帰るぞー」
正直すぐにでも相合傘をしたい莞爾は嫌がる京蔵をなんとか誘導し、下校するため校門に向かって歩き始める。
…舐めていた、実際に浴びてみるや否や傘を垂直に保つのがとても難しい。濡れたくない京蔵のために一応京蔵の体は入るようにしているが、そのため片手で傘を持つから風に煽られ傘がひっくり返ってしまいそうになる。…何より俺と京蔵は10cm以上身長の差があるため京蔵の顔に雨がかからないようにすると俺が雨を全身に受けてしまう。
「……っどーしよ」
「お前何で外に出てんだよっ、入れよ!」
「…っでも俺とお前の身長差どれだけあると思ってんだよ!」
「うるっせぇなっ!お前がしゃがんで近づけばいいだけの話だろぉ!」
「っうえぇ⁈」
いきなり京蔵の方から近づけばいいと提案されて情けない声が出た。なんでともし質問したらウザがられそうな気がするので従う気ではいるけど…。
傘を少し持ち上げ中に体を入れ込む。莞爾の傘はサイズとしてはでかい方ではあるが、2人入るとしたらかなり窮屈だ。すぐ近くに京蔵の顔がある。自分の顔が赤くなっているかもしれない、風邪といえば通るだろうか…
「雨音がうるせぇな」
声が近い。傘に当たる雨粒の方なうるさいはずなのに、京蔵の声がしっかり聞こえる。雨でぐしゃぐしゃになった髪から滴る雨粒、顔に垂れてくる雨水が鬱陶しいのか手のひらで顔を拭う。機嫌が悪いのか眉間にシワがより、唇を少し突き出している。俺の視点では正直えろいとしか言いようがない。…俺、京蔵の嫌がってるとこが好きなのかな、嫌な奴すぎるだろ。でも 実際、泣き顔とか不貞腐れる顔とかの方がそそられる。普通に笑顔とかも好きなんだけどなぁ。
「びしょ濡れだしウチこい。俺はすぐにでもシャワー浴びてぇし、お前のことなら兄貴が車で家まで送ってくれんだろ。」
…今年は運がすぐ尽きるかもしれない
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