テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
◆第2話(近すぎる距離)
いつもの階段。
気づけば、また2人に挟まれてる。
「けちゃ、こっち」
あっとくんに軽く引き寄せられて、肩が触れる。
「……近いです」
小さく言うと、
「いつもじゃん」
って、当たり前みたいに笑う。
その反対側から——
「ほんと顔赤い」
まぜたが覗き込んでくる。
距離、近すぎる。
「先輩たちのせいです」
ちょっとだけ睨むと、
「じゃあ離れる?」
って聞かれて——
「……それは、やです」
反射で答えてしまう。
一瞬、静かになる。
(やば……)
言ったあとに気づく。
でも——
「素直すぎ」
あっとくんがくすっと笑って、頭を撫でる。
「かわいい」
さらっと言われて、余計に顔が熱くなる。
「からかわないでください」
その手を軽く押すと、
「からかってないよ」
優しく言われて、言い返せなくなる。
そのとき——
「俺の方も見て」
まぜたが顎を軽く持ち上げる。
強くないのに、逃げられない。
視線が合う。
「ちゃんと反応してる」
小さく笑う。
(ほんと無理……)
ドキドキがバレそう。
でも——
(好きってことは、バレてない)
それだけが救い。
「……先輩たち、ずるいです」
また同じ言葉が出る。
「何が?」
あっとくんが優しく聞く。
でも、言えない。
「……なんでもないです」
視線を逸らすと、
「絶対嘘」
って、少しだけ近づいてくる。
逃げ場ない。
左右から、距離詰められる。
「ねぇ、ほんとに何もない?」
優しい声。
近い距離。
そのまま——
そっと肩に寄りかかる。
「……ちょっとだけ」
23
36
自分でもびっくりするくらい、自然に。
一瞬、2人とも止まる。
でもすぐに——
「いいよ」
あっとくんが小さく笑う。
そのまま軽く肩を支えてくれる。
反対側で、
「ずるい」
まぜたがぼそっと言う。
でもそのあと——
「俺にも」
って、手を軽く引く。
結局、また挟まれる形。
でもさっきより近い。
(なにこれ……)
逃げられない。
でも、離れたくない。
「……先輩たち」
小さく呼ぶと、
「ん?」
「どうしたの」
2人同時に返事。
近い声。
近い距離。
「……なんでもないです」
結局、また言えない。
でも——
(このままでもいいかも)
そう思ってしまう自分がいる。