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福岡×愛知
攻め受けなし。
俺は愛知。
テンションは高めだと思う。
自覚はある。
七大都市の中でも、たぶん二番目くらいには。
理由は簡単で、止まるのが苦手だ。
止まると考える。
考えると、余計なことまで見えてくる。
だから走る。
車も、思考も、人付き合いも。
「……今日も天気いいな」
ビルの屋上。
高いところ。
ここは落ち着く。
地面が遠いと、細かいことがどうでもよくなる。
「おーい、愛知ー!」
下から声がした。
福岡。
手を振ってる。
相変わらず、元気で、うるさくて、距離感が近い。
「何してんのそんなとこで!」
「休憩!」
「休憩で屋上来るやつ初めて見たわ!」
そう言いながらも、福岡は階段を上ってくる。
文句を言いつつ、ちゃんと来る。
いつもそうだ。
「相変わらず高いとこ好きやな」
「嫌いじゃない」
「落ちたら死ぬぞ」
「死なねぇよ」
福岡は俺の隣に立つ。
距離、近い。
「なあ愛知」
「なに」
「今日、車出す?」
「出す」
即答すると、福岡が一瞬だけ黙った。
「……命の覚悟、いるやつ?」
「失礼だな」
「俺、愛知の運転でしか酔ったことないんやぞ」
「才能だろ」
「誇るな」
福岡は笑った。
俺もつられて笑う。
こういうやり取り、何回目だろう。
昼。
他の連中も合流して、自然と一緒に行動する流れになる。
大阪は相変わらず騒がしく、東京は電話片手に歩いている。
宮城は眠そうで、広島はそれを気遣っている。
北海道は後ろから全体を見ている。
「なあ愛知」
また福岡。
「なに」
「今日さ」
「なに」
「二人でどっか行かん?」
唐突。
「……仕事は?」
「ちゃんと終わらせた」
「珍しいな」
「お前と一緒やったら、やる気出る」
一瞬、言葉に詰まった。
「……調子いいこと言うな」
「本心やけど」
福岡は悪びれず言う。
こういうところだ。
心臓に直で来る。
結局、車を出すことになった。
「助手席、俺な!」
「はいはい」
エンジンをかけると、福岡がシートベルトを締める。
「……なあ」
「なに」
「今日、安全運転な」
「努力はする」
「努力かよ!」
文句を言いながらも、福岡はどこか楽しそうだった。
走り出す。
街が流れる。
スピードは、いつもより少しだけ控えめ。
「……あれ?」
福岡が気づく。
「今日、遅ない?」
「たまにはな」
「……なんで?」
ハンドルを握ったまま、俺は答える。
「酔わせたくないから」
一瞬、車内が静かになる。
「……」
「……」
「……愛知」
「なに」
「それ、ずるいわ」
声が低くて、少し照れている。
俺は前を見たまま、口角を上げた。
途中でラーメン屋に入る。
「台湾ラーメン!」
「やっぱそれか」
「愛知といえばやろ」
「福岡が言うな」
向かいに座って、ラーメンを待つ。
湯気の向こうで、福岡が俺を見る。
「なあ愛知」
「なんだよ」
「お前さ」
「うん」
「ほんまは、優しいよな」
咳き込んだ。
「は!?」
「いや、見てたらわかる」
「どこが」
「速度落としたり、気遣ったり」
福岡は箸を持ったまま、少しだけ笑う。
「ツンデレやん」
「違う!」
「自覚ないとこがまたな」
俺は顔が熱くなるのを感じた。
夜。
帰り道。
街の灯りが流れる。
「なあ、愛知」
「今度は何」
「また二人で出かけよ」
「……考えとく」
「絶対な」
福岡はそう言って、シートにもたれた。
「安心するわ」
「何が」
「お前の運転」
「……今日は?」
「今日はな」
少し間を置いて。
「今日は、安心する」
胸の奥が、きゅっとなる。
止まるのが苦手な俺の時間が、
この瞬間だけ、ゆっくりになる。
悪くない。
「……また来いよ」
「言われんでも」
福岡は笑った。
俺はアクセルを踏む。
少しだけ、ゆっくりと。
リク待ってます()
コメント
4件
大阪と東京の絡みをください!!😭😭😇(地雷とかないので主さんの好きな方で掛け合わせちゃってください!)
尊いんですが、リア充じゃn((