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テヒョンside
ジン先生が、病室に来た。
「ジミン〜検査結果出たんだけどさ、特に異常は見つからなくて、原因が分からないんだ…」
「……う、うわーん。」
ジミナはジン先生の話を聞いて、突然泣き出してしまった。
「ちょ、ジミン…?なんで泣くの?異常は無かったんだよ?」
「ヒック…あ、あんなにあんなに、死ぬほど痛い思いをしたのに…なんにも、わからなかったの……?(泣)」
「い、いや、ジミンごめん…(汗)でもさ、悪いものでは無いって分かったんだから、良かったんだよ?これから、合う薬を探していこうよ。きっと治るから、俺を信じて。ね?」
ジン先生は慌ててジミナの手を握り、そういった。
「ぐすん…ぼ、僕、座ることも、仰向けに寝ることも出来ないんだよ?これじゃあ、車椅子にも乗れないし、ごはんも座って食べれない…(泣)もうどうしたらいいの…?心臓に負担かかるから、どうせ歩くのもダメなんでしょう?」
「ジミン、わかったよ。最近心機能の方は安定してるから、立つことと、少しなら歩くのもいいよ。だから泣かないでよ!ね?俺が悪者みたいじゃん〜。」
「え…歩いて…いいの?トイレも、行ける?」
「いいよ。ただね、お尻が今重篤な状態なのは本当で、これで更に細菌に感染したら大変なことになっちゃう。大事なのはお尻を清潔にすることと、合う薬を探すこと。とりあえず、1日3回シャワーで患部を洗って薬つけるからね。痛いかもしれないけど、それは頑張るんだよ?分かった?」
「う、うん…(泣)」
ジン先生が塗り薬を置いて病室から出て行くと、僕はジミナに声を掛けた。
「ジミナ〜。シャワーとお薬さ、済ませちゃおうよ〜」
「嫌だ!!!絶対…痛いもん。」
僕は、うつ伏せで寝ているジミナの顔を覗き込み、髪を撫でながら言った。
「ジミナ…さっきジン先生と、そこは頑張るって約束したじゃん…」
「う…そうだけど…。今日はもう嫌なんだよ。だってだって、あんなに痛い生検頑張ったもん。すごくすごく辛かったもん。もう、死にたいぐらい、今まで生きてきた中で1番ぐらい、痛かったんだから!」
「それは、分かってるよ〜。ジミナ頑張ったもんねぇ。でもさ、お尻がバイ菌に感染しちゃってもっと痛くなったら…?困るよね?」
「う……」
「今なら俺がシャワーやってあげられるけど?そうじゃないと、後で看護師さんにやってもらうことになっちゃうけど…いいの?」
「もうっ!わかったよ。今やるよ…。やればいいんでしょ?シャワー室連れて行って!」
僕は、膨れっ面のジミナをベッドから下ろし、肩を貸して、歩いてシャワー室に連れて行った。
迷ったけれど、ジミナだけを裸にするのはかわいそうな気がして、僕は自分も服を脱ぎ、狭いシャワー室に一緒に入ることにした。
僕は先に自分が服を脱いでから、ジミナの入院着の上衣の紐をほどき脱がせ、ズボンと下着をそうっと下ろした。ガーゼを剥がしただけで、ジミナは小さなうめき声をあげた。
家では一緒にお風呂に入り介助してあげることもあったんだけど、入院してからは初めてで…益々痩せてしまったジミナの裸を見て、僕は内心ハッとした。
ジミナの白くて華奢な身体には、手術の跡や、点滴や採血、注射の跡…。おまけに、小さくてかわいいジミナのお尻の左側は、いまや大部分が赤く爛れ、えぐれていて、すごく痛々しかった…。
ああ、こんなにも小さな身体で、手術や注射や痛い治療や検査や…。沢山の頑張った証が、ジミナの全身に刻まれていた。
僕は、自分の色黒で筋肉が付いた、健康な肉体が恨めしかった。双子で、一緒にオンマのお腹の中にいて、一緒に生まれてきたのに…何がどう違って、ジミナだけがこんな責苦を追わなくてはならないんだろう…。
ジミナはシャワー室に立って、裸でふるふると震えながら、もう泣いていた…。
僕はジミナの頬を両手で包み、涙を拭って言った。
「ジミナーもう泣いてるの…?大丈夫だよ〜。すぐに終わるから、そんなに怖がらないで…。そこの手すりに掴まって、お尻こっちに向けれる?」
ジミナは泣きながら、シャワー室の手すりを、小さな右手で掴む。
「うわーん。シャワーこわいよー。」
僕は、少しでも刺激を少なくする為にぬるま湯に調節し、水流をいちばん小さくしてシャワーを出した。
「ジミナ…いいー?シャワーかけるよー?」
「う、うん…」
ジミナの右手に力が入るのが分かる。怖いよね…痛いよね…。
そーっと、シャワーをジミナのお尻にかけた。
「う、うぅー……」
「ジミナ痛い?大丈夫?」
「いいいいぃぃぃ……(泣)」
ジミナは歯を食いしばり、手すりを握りしめて痛みに耐えていた。
僕はさっと患部を流し、急いでシャワーを終わらせた。そしてジミナを脱衣所に出し、自分は裸のまま、慌ててバスタオルでジミナをくるんだ。
「ジミナ〜痛かったね…ごめんね。あと薬塗るだけだよ。ちょっとだけ我慢して。そのまま立っててね。」
軟膏の蓋を開け、立っているジミナのバスタオルをめくり、お尻に薬を塗り込む。じゅくじゅくした患部に薬を塗るのだから、めちゃくちゃ痛いに決まってる……。
ジミナが痛みでぶるっと震えるのが分かった。
「うぅぅぅ……痛ーい………」
「ごめんねー終わったよー今ガーゼ貼ってあげるから。もう痛いのは全部終わりだよ。」
ジミナのお尻にそーっとガーゼをあて、テープでとめた。それから、なるべくお尻に触れないようにパンツとズボンを履かせる。最後に上衣を着せて、紐をキュッと結んだ。
「シャワーにお薬に、よく頑張ったね。えらかったね。」
自分はまだ裸だったけど、泣きながら震えるジミナをギュッと強く抱きしめた。
病室に戻ると、夕食が届いていた。
「ジミナー、ごはん来てるよ〜。座れないよね?どうする?」
「す、座るのは、絶対、無理……」
「じゃあ、横向きで寝たまま食べる?」
「寝たままは、なんか嫌…。立って…食べてみる…」
「分かった。やってみようね。」
僕はサイドテーブルに食事のトレーを置いた。
「食べさせてあげようか?」
「ううん、自分で、食べられる…」
ジミナはサイドテーブルの横に立ち、震える手で、ごはんを口に運んだ。
僕は横で、ふらふらしたジミナを支えた。ごはんが少しこぼれ落ちてしまったのを、慌てて拾う。
立ったまま、泣きそうな顔で俯いて、小さな口をもぐもぐさせているジミナは、健気だった。
せっかく最近少しは食べられるようになって、鼻チューブも取れたところだったのになぁ。
その時、ジミナの目から、涙がぽたりと食事のトレーに落ちた。
「ジ、ジミナ……泣いてるの?」
「ぐすん……。ごめ…なんか、惨めで、情けなくなっちゃって…」
右手にお箸を握りしめ、ごはんをもぐもぐしながら、ジミナは小刻みに震え、涙を流し続けていた。
僕は思わずジミナを抱きしめ、顔の涙を手で拭った。それから頭をなでなでして言った。
「ジミナ〜。座れないの辛いし、お尻も痛いんだよね…。可哀想に…。食べられないんだったら、あんまり無理して食べなくてもいいんじゃない?今日はジミナ、いっぱい頑張ったんだし…。」
「ぐすん……(涙)でも、食べなきゃ…食後のお薬飲めないし…。そ、それに、また鼻チューブになったら困る…それはぜったいに、嫌…」
ジミナは、ごはんを食べるのをやめなかった。涙を流し、鼻をすすりながらも、ごはんを口に運び、一生懸命に咀嚼しては、ごくんと飲み込むのだった。
泣きながら食べてもきっと味は分からないし、美味しくなんかないだろうに…。
ジミナは結局、1時間もかけて、泣きながらごはんを完食した。
「ジミナ、全部食べられたんだ…。疲れたでしょ?横になろうね。今お薬用意するからね。」
ぐったりして今にも倒れ込みそうなジミナを、横向きにベッドに寝せて、口に薬を含ませ、吸いのみでお水を飲ませた。
ジミナにとって、食べることは、義務なんだ。
僕はジミナが可哀想で、せつなくて…胸が張り裂けそうだった。