[注意書き]
⚪︎直接的な表現は少なめですが全体的に江戸、東京愛され
⚪︎松浦静山さんの随筆集「甲子夜話」に執筆された三英傑のホトトギスをイメージとしています
⚪︎特定の国や機関、歴史などを侮辱する意図はありません
⚪︎戦争賛美、政治的意図はありません
⚪︎話により不穏展開、暴力表現
江戸の世も二百年、
この神州に生まれてからというものいろんなものを見てきた。
前時代である戦国の文化が色濃く残る時代の中宛先の無い武士
花魁道中が人々を魅了するなか影で毎夜夜鷹のごとく客をとる下級遊女
上方では浮世絵や草双紙が大量に摺られ、農村では生活に耐えられなくなり一揆を起こす農民
この二百年で貧富の差が無くなったと感じたことは一度も無い。
だが、我に人の暮らしなど関係無い。ただそこに入れば良いだけの存在。
政治など人間どもが勝手にする。
国の化身とはそういうものだ
朝の明け六つの鐘はとうに過ぎさっただろう。
国の化身としての仕事もある、仕方なく誰かが起こしに来る
「江戸、ぼちぼち起きんと怒られんで!」
「今日はお天道様も顔を出しとる、散歩でも行こな?」
方言からして大阪藩か、邸内には他の使用人もおると言うのに擦り付けたか。
使えないものが多い、間引きをすべきか?
「大阪藩、入って良いぞ。」
久しぶりに江戸に会いに行こうと邸内に入ったら稚児に泣き付かれて困ったで、
江戸が部屋から困ってる言うから話しかけてみたら
「大阪藩、入って良いぞ。」
やっぱり江戸、お前さんはどこか欠けてる
誰かを思う 気持ちが一切感じられへん
渋々戸に手をかける、戸が少し引っかかった。
「…江戸、お前何日部屋から出てない」
部屋はホコリっぽかった、少し変な匂いもした、さっき戸に感じた違和感と似ている。
江戸幕府、この神州の化身程のええ身分なもん部屋の掃除が行き届いて無いはずが無い
そんな失態を犯したのならば使用人は良くて解雇処分やろ、それ程コイツは偉い。
「何日と言われても…分からん。」
「はぁ…分からん事は無いやろ、日没とかで判断出来る…」
部屋の隅にある蝋の使いかけが目に入った
闇を掻き消す程の照明がわりになる蝋はめっちゃ高価分かってんのか?
こりゃぁ、幕府のお偉いさんに同情するわぁ…
「そうや、江戸今日はさっき美味しそうな天ぷらの屋台見つけたんや、」
「昼食まだやろ?一緒に行かへん?」
江戸の口が何か切り出そうとした時、
「会話をお止めしてしまい申し訳ありません、ご無礼をお許しください」
「浦賀に黒船が数隻、亜米利加と名乗る国からの国書をお預かり致しましたので 江戸様へと」
亜米利加…和蘭から聞いた国や、
よりによって警戒しとけ言われた国だ。
「寄越せ、昼餉の後にでも読む」
「…大阪藩今日は町に出る、準備をしておけ」
「…今は亜米利加のやつと話合いか?」
初めて見た異国のものは亜米利加と言う国の化身やった。
我が国のように異国にも江戸さんのような方がいはるみたいやなぁ
「お初にお目にかかりマス」
「今日江戸様ハご気分がすぐれないのでショウか?」
亜米利加はここに対して好意的な印象を持ってるみたいや、
せやけど、後ろの人やな。まるで野蛮人を見るような冷ややかな目や
「是非お会いしたかったデス。」
「ですが、京都藩様にお会いできるトハ、大変嬉しゅうございマス」
「京都藩様…もしよろしければ…
「その短刀しまっていただけマスか?」
「私タチは友好な関係を築きたいと思っていマス、」
「そちらの武士の方もドウカ刀を納めていただけませんか?」
「…見破られとったんかいな?亜米利加さんや」
幕府のお偉いさんが顔を顰めてるわ、
でもここで引き下がったらあかんわ
「せやけど、それはお互い様やんなぁ?」
「そっちさんもその銃…置いてくれんか?」
「今日の所はもうしまいにしましょ。 お互いやりにくいどすし、」
「それに私は江戸ではおまへんので首を縦には振れません。」
「国書は預かっとくわ、江戸に渡しときます。」
「…次ハお互い良い関係になれるコトを期待シテおりマス」
「国書にハ良く目を通してくださいネ?」
「それデハ…そろそろ日も沈みマスので」
コメント
6件
もしかして青の怪物さんですか?違ってたらごめんなさい、、
え、亜米利加って今のアメリカと同一人物なんかな…全然キャラ違うー!これはこれでかわいいな 新小説待ってましたー!続きが楽しみ!!