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小さい頃から”普通”が分からなかった。
ヒトの言う普通と、自分の思う普通の輪郭が違ったのだということを少し大きくなってから知る。
例えば、”地獄や天国”。
人々はそれらを物珍しく、怖い、楽しいなどの多種多様の思考回路を持っているらしい。
また、それを利用した金銭トラブルや事故に繋がる恐れを生み出し、交流という文化が衰えてきているのは生きるうえで仕方のないことなのだろうか。
昼か夜かも分からない部屋に、秒針の音がこだまする。
静かな静かな、外から差し込む紅色に染まる部屋。
1人の青年が、手首に紅く綺麗な液体を垂らしていた。
「はぁ…」
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紫、黄色が額に汗を滲ませながらも笑みを作って見せる。また、他の青、緑は真剣な顔で赤色の顔をじっと見ていた。
赤色はそれに乗じるかのように、
「みんなってさ…」
と語りを辞め、質問形式にした。
「日常に辛さを感じたことない?」
「「辛さ?」」
2人が復唱し、1人は沈黙し、1人はコクリと頷く。
赤色も同様に頷き、そのまま続ける。
「別に日常に問題があるわけじゃないんだけど、唐突に『あ〜辛いなぁ』ってガン萎えする時が俺よくあったんだけどさ」
「あ〜…、?」
黄色が軽く理解出来た頭で声を上げる。
他のメンバーは少し考えれば理解出来たようで、ほとんどがコクコクと頷くことで共感を表現している。
赤色は続ける。
「んで、自分のことについて考えんの」
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地獄の住民が語る言葉はいつも定義づけられていた。
”醜い心を持つモノたちだ”と。
赤色は、部屋の椅子に座り傾け、天井を仰ぐ。
「なんで生きてるんだろ」と。
生きることに定義を持つ生き物の方が少ないこの世の中で、そんな事を考えたってなんの価値もない時間を過ごすだけだと分かっていても考えてしまう。
自分が生まれてきた意味、自分に関する記憶が全て消えていなくなれれば。
消えてしまいたい。
けれど痛いのはいやだし、■にたいとも、思わない。
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「はいはいしつも〜ん」
青色が力なく挙手し、赤色は「ちょっと待って」と静止する。
「あくまでリ◯カは痛いのうちに入らないからねって補足を_」
「質問内容に関係ないので大丈夫で〜す」
「じゃあどうぞ」と赤色は青色を指名する。
いつもの笑顔は消え、真剣な表情で…いや、眠そうな目で赤色を見つめた。
「結局、レウは何が言いたいの?」
「…え」
青色はこてんと首を傾げる。
「コレは過去の話っしょ?レウのは共感を求めてるようにしか聞こえないんだけど」
眠そうな瞳が、藍色に変わる。
赤色は言葉を紡ごうとしたが、その口は音を発すること無く、固く結ばれてしまった。
黄色が苦笑を浮かべながら仲裁に入る。
「何か分からんけど、一旦火力強ない、?w」
様子を窺っていた紫も参戦する。
「別に共感を求めること自体はいいんじゃない?ルールとか作ってないわけだしさ」
緑色も後ろでこくこくと頷く。
一方青色はこの場合、いつもなら『俺が悪いこれw』と笑っているが今回は呆れたようなため息をつくばかりで、その素振りすら見せない。
相当、彼の中で何かが引っかかっているのだろう。
「で、どうなの?レウ」
青色は諦めない。
赤色は俯く。
「求めちゃだめなの?」
か細い声が、妙に部屋に響いた。
「別に駄目とは言ってないけどさ」
青色は否定する。
「過去は過去って、割り切らないの?」
赤色は、少し顔を上げた。
青色の瞳は優しく、ふわりと力を緩める。
「れうさんは、まだそう思う時があるの?」
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コメント
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すげぇ、作り込みが、、ruさんもやっぱ重めな感じなのか、不安があるのかな、、? すごく面白いです!!!
rdさんの言いたいことも分かるし、ruさんの言いたいことも分かるような?そして相変わらずのrdさんの強強火力発言