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23 - 三日月「美形な厳格執事と、ロマンティックLOVE」Ⅳ

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2025年05月02日

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大勢の仮面を着けた男女がつどう舞踏会で、


ひときわ周囲の視線を集めていたのは、三日月だった──。



ブルーグレーのタキシードの裾を翻して、


会場の中央で、誘われたどこぞの令嬢と優雅に踊る三日月を、私は遠巻きに見ていた。



(もっと三日月の反応を楽しむはずだったのに……。


こんなところに来てまで、あの男はちっともおくすることもないだなんて……つまらない……)



思惑おもわくがはずれたことで、舞踏会自体にもあまり興味がなくなってしまい、ひとり会場の外にある庭へ脱け出した。


広い庭園には、大きな噴水があって、私はそのへりに足を投げ出して座った。


「つまんない……三日月は、やたらもててるし……ちっとも、おもしろくないんだけど……」


そうひとりごとを呟くと、なんだか悲しくもなるみたいだった。


涙が流れてきそうにもなって、顔を上へ向けると、空には綺麗な月が出ていた。


「綺麗……」


私は、月の浮かぶ夜空を眺めながら、ぼんやりと口にした。


──と、不意に、


「こんなところにいらしたのですか? 理沙…」


聞き覚えのある低い声が上から降ってきた。

「三日月……」


月の光を遮って立つ彼を見上げる。


「なぜ、こんなところにひとりでいるのです……」


「あなたが、相手をしてくれないから……」


寂しさから、ついそんな言葉が口をつくと、


三日月が、「ふっ…」と口元に2笑みを浮かべた。


「理沙…私に、相手をしてほしいのですか?」


手がついと取られて、噴水のへりから立ち上がらされる。


「……違う……別に…そんなことは……」


彼と向き合うようなかっこうになり、私はしどろもどろで言い訳をした。


「理沙、今宵は私はあなたのパートナーとして過ごさせていただくと、そう言いましたよね。


このひとときだけ、あなたを私のものにしてもかまいませんか?」


「えっ……」


見つめる彼の眼差しに情熱的な炎が感じられるようにも思えて、一瞬なんて答えればいいのかがわからなかった……。


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