「セッティング出来ました!ドイツさん、日本さん、準備できてますか?」
最新モデルの小型スーパーコンピュータ「東藤」をセッティングし終わった国連は日本とドイツの方を向いた。日本とドイツは大量の紙の束をちょうどファイリングし終わったところだった。
「ああ、勿論だ。いつでも行けるぞ」
「はい!私もいつでも大丈夫です!!」
日本とドイツはそれぞれ並んで置いてあるキーボードの前に座りその横にファイルを並べた。
「では、ハッキングをお願いします!」
「「はい!!」」
国連さんの声を合図にドイツと日本の視線は画面から外れなくなった。カタカタカタカタ!と、とんでもないテンポの速さでタイピング音が会議室中に響き渡る。
ドイツは世界AI総合統一センターのメインコントロールシステムを、日本は国際コンピュータ機関のメインコンピュータをそれぞれハッキングしていく。
初めは文字化けだらけでよく分からなかった画面が日本とドイツがキーボードを叩く度に通常の文字に戻り読めるようになっていく。
そしてついにドイツが最後のキーを押したその瞬間、
「危ない!!!!」
突然日本がそう叫びドイツ諸共日本から見て左側に飛び退いた。2人が少し離れたところで見ていたアメリカたちの足元に転がったその直後、
ドカンッ!!!!
と大きな音を立てて小型スーパーコンピュータ「東藤」が砕け散った。
「なっ……!?」
その場に居た国達は全員目を疑った。日本が突然ドイツを巻き込んで倒れ込んだかと思いきやスーパーコンピュータが爆発したのだ。
「ど、どういうことですか…これは、」
動揺が収まらないのか声を震わせながらイギリスが言う。
「わ、分かるわけないじゃん!それより、日本君、ドイツ君、怪我はない?」
声を荒らげながらもフランスは床に倒れ伏したままの日本とドイツを抱え起こす。
「大丈夫です、ただあまりにも驚いてしまって……」
フランスの手を借りて起き上がった日本は粉々に砕け散った「東藤」を悲しげな目で見つめた。
「大丈夫だ、日本。これに驚かない方が無理だ、それよりも俺を助けてくれてありがとうな。もし日本が気づいてくれなかったら俺は今頃あの破片にまみれていたかもしれない……」
「東藤」の破片を手に取ってドイツは身震いした。
「とにかく、おふたりに怪我がなくて何よりです。しかし、どうやらこの事件。黒幕がいるようですね……」
「黒幕……!」
国連の一言で会議室が一気にざわめき出した。でも確かに今までもこの事件が単なるAIの誤作動では無いと思われる出来事がいくつもあった。例えば物理的にAIを止めることが可能だとか夜の間は動きが穏やかだとか、何者かの都合の良いように動いているような節がある。
そういえばドイツが最後のキーを押した瞬間に見えたあの言語あれは、██と██と██が融合していたような気がした。
コメント
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やっぱり黒幕の方が強かったか…あとコンピューターの名前、「東藤」は実際に苗字として存在している。ちなみに、開発者はそれを悲しげに見つめてる日本なのかも?あと、「東藤」の名前の由来は実際に居た人(日本の関係者?)に由来しているのかも。
日本の反射神経すごっ!