「ははっ、やっぱ朱璃ってモテねーんだw」
そう言って私を馬鹿にするように笑ったのは、高校で隣の席になり仲良くなった葛葉。
「モテたい人生だったよ…」
私が諦め半分で机に突っ伏しながらそう言うと
葛葉は余計面白そうに「親友はモテモテなんだけどな?」とか釘をさしてくる。
小指をタンスの角にぶつけてくれと祈りながらも、私にも煽れる話題を見つけて顔をあげた。
「葛葉も、ことね好きなくせに」
「…はぁ!?何で知ってんのお前!!」
「あ、やっぱり本当なんだ。葛葉がことね好きだって噂」
オーバーリアクションとはこーゆうことを言うんだなと耳を塞ぎつつ、焦る葛葉が珍しくてもっと揶揄いたくなってしまう。
「…ふっ」
「…なんだよ」
「いや?」
「ただ、ことねのタイプじゃないなーって思って」
「お前なぁ…」
飽きれたように笑うのを横目に見ていたらいつの間にかチャイムが鳴っていたらしい。
また葛葉と話しながら次の時間の用意をする。
「……え、」
「どうした?」
「…んーん、何でも」
数学の教科書を取り出している途中、あの綺麗な赤色の髪と、ことねが見えた気がしたのだ。
(まさか、ことねとローレン…なんてことはないよね)
ドクドクと音をたてる心臓を深呼吸をしてなだめながら、自分の気持ちと向き合う。
(大丈夫、大丈夫…。だって、ことねとローレンはそもそも認識なんて無かったし )
「…お前、大丈夫?」
心配そうな目でこちらを見る葛葉が視界に入った途端、息も切れ切れだった呼吸が少し落ち着いた気がした。
「ごめん、私ちょっと保健室行ってくる」
「おう、そうしろよ」
「じゃ〜な〜」と廊下で別れる葛葉は何も考えていなさそうに見えてやっぱり心配しているようで。
そんな友達の温かさに胸が締め付けられる。
(このままサボろ)
何もすることがないと思うとなんだか気分が明るくなってきて、足取りが軽くなった。
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