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「……しようとしてっていうかー、そうなんじゃないのー?」
その言葉が放たれたあと、教室は妙な静けさに包まれていた。
――ナマエは、怒りを感じていた。
ずっと我慢してた。ずっと笑ってた。
でも、誰も分かってくれない。
本当のことも、努力も、痛みも。
それなのに。
出水が何かを言おうと、口を開いた瞬間だった。
『もうなにも言わくていい!!』
バンッ、と。
机を叩いた音じゃない。
ナマエの手が出水を強く叩いていた。
『余計なことしないでよ!!!むかつく、むかつくむかつく!!最悪!!』
彼女の声は裏返り、教室中に響いた。
『私は何もしてないのに!!!あんたのせいでイメージが悪くなるの!!出水先輩と話してるだけでぶりっ子って言われて!!』
震える手。にじむ涙。
感情は止められなかった。
いつメンのひとりが、慌ててひよりの肩を掴む。
「ナマエっ、落ち着いて!大丈夫だから!」
だけど、ナマエは肩を振りほどくようにしゃがみ込み、両手で頭を抱える。
『もう、いいんだ…全部、私が悪いんだ…』
その声は小さく、けれどはっきりと絶望を滲ませていた。
『期待なんてしなければよかった、守ってくれるなんて思わなければよかった……』
顔を上げたとき、ナマエの瞳には光がなかった。
『出水先輩。』
『もう……私のことなんか、気にかけなくていいですよ……放っておいてください。』
出水は動けなかった。
ナマエの、心を閉ざしたその言葉に――何も言えなかった。
つづく