〘 👑seed 〙
朝、起きると珍しく俺以外の皆は寝ていて、なにか不吉な予感がしてままならなかった。
まだ少し、眠気が残っている体を覚ますために俺は洗面所へと向かった。
蛇口を捻ると出てくる冷たい水。水を手のひらいっぱいに溜め込み、俺の顔へ打ち当てる。
冷たい水が俺の顔を当るととてもひんやりしたようで気持ちよかった。
2、3回繰り返し、傍にあるタオルを手に取って濡れた顔を拭く。
なんか自室に戻る気もしなかった故に、俺はリビングへ向かった。そこには誰も居らず、只々静かな空間が続いていた。
俺は、近くにあったソファーに腰をかけ、思考を鈍らせて何も考えず一点を集中して見つめていた。
そんな所に、1つの足音が近づいてくるのが分かった。静かに迫ってくる足音に俺は耳を澄ませながらぼーっ、としていた。
すると、その足音の主の声が聞こえてきた。
🍵「ぁれ、👑くん、?」
彼奴だった。
👑「そうやけど……なに?俺になんかするつもり?」
🍵「いや別に……珍しいなって思っただけ。」
俺が少し圧をかけた質問にも、彼奴は動じずに淡々と返した。
そしてキッチンに向かったと思うと、朝ご飯を作り始めていた。
きっと、俺らの分まで作ってるんだろうな。なんて考えると、俺の心の中には罪悪感が残った感じがした。
彼奴が来てから約半年弱ぐらい経っただろうか。多分大体4~5ヶ月。
それなのに、俺らと彼奴の関係は1つも進歩はしてなかった。
………正確に言えば、多少は進歩したかもしれない。
あの☂️ちゃんの事件で、守ってくれた。その事件が俺にとっては有難かったが、兄らはむしろ警戒心も高まったような気がする。
だから実質。特に進歩は双方していない。
👑(彼奴が、陥れる罠かもだし。)
こんな感じに考えていると、とても美味しそうな匂いが俺の鼻を通って伝わってくる。
ただ、俺はそれを食べてはならない。
彼奴はそれを理解しているのか、自分の作ったものを冷蔵庫に入れ、俺に「食べれそうだったら食べて」と耳打ちし、俺の横を通り過ぎようとした。
その時だった───
俺の 親父が現れたのだ。
親父「あ、2人ともおはよう」(ニコっ
🍵「おはようございます。義父さん 」(ニコっ
👑「おはよう。父さん」(ニコっ
親父「俺はあの人と出かけるから。じゃっ」
またか、という程にもう父親には呆れている。
最近は義母との外出が多く、ろくに俺らに構わない。
けどまぁ、、“兄達が殴られてない”のはいいのかな。
👑(あの地獄はもう真っ平ごめんだ……)
そう思えるぐらい、あの生活は地獄で、二度と戻りたくない。
🍵「👑─ん?」
👑「あぇっ、!?…なに、」
🍵「👑くん?険しい顔してるよ?」
👑「あっ、、そ、そう?」(ニコっ
🍵「…ぅん、。」
👑「何でもないけえ、大丈夫。」
🍵「そっ、か。」
彼奴に名前を呼ばれ、我に返る。何故呼ばれたのかが分からず不安感もしき積もったが、表情の問題だったか、。
そんなこと………どうでもいいやん。
自分でも意識していないぐらいに彼奴の前で顔を顰めてしまった。
次は、、しないようにしないと。
ものの数秒の間にそんなことを考えながら、彼奴が通り過ぎようとする。
それと同時に彼奴は俺に────
🍵「無理、し過ぎないようにね」(小声
👑「ッ………」
そんなこと、、俺が1番分かっとるんよ、ッ。
何も分からないくせにッ、分かったように言わんで欲しいッ、、。
彼奴へ癪に障る態度になりながら、ただ俺は、あの声が………彼奴の声が、あの心配された声がどうしても、他人事ではなく、自分事として捉えて貰えているような、。 そんな感じがして堪らなかった。
朝の光が、カーテンの隙間から静かに零れ、濁りが混じっている俺の心を少し、浄化してくれるような。暖かく包み込んでくれているような。そんな感じが、只々俺を──“苦しめていく”。
〘 🍵seed 〙
さっき、👑くんと会話して多少わかった気がする。
あの子”も”辛い思いをしている。
🍵(……まさか、義兄弟全員が、、こうだとは、思わなかったな、(笑))
苦笑しながら、予想もしなかった出来事に打ちのめされるような。砕け散るような感覚が俺をおそう。
と言っても、誰かを救い、誰かを救わない。そういう訳でもないのだけどね、。
みんな、救いたい。
そんな気持ちが俺の心の中には確かにあって、その答えは曖昧ではなく。確実な物へと固まっていた___。
🍵(と言っても………)
ノープランな俺が、あの子達をどう救うか。
まず絶対に仲良くなんないといけないけど………、、そう簡単にはいかないと思うし……。
🍵(どうしたもんか……、)
少し辛い気持ちに唆(そそのか)されながらも、微かに進歩している気持ちを噛み締めながら、ギシギシと音を立てる廊下を突き進む。
太陽の光が昔ながらの匂いが漂う廊下を暖かく照らす。
照らされ続けている光で、歩く度に現れるほこりもキラキラと照らされ、輝いている。
只、そんな暖かさに包まれる廊下を冷たく寒さが纏(まと)う俺が、その雰囲気を壊していく。
🍵(俺は、そんな奴だから___)
木が微かにきしむ音を聞きながら、自室にて、嫌な所へ行く準備を始めた。
〘 ☂️seed 〙
☂️(なんでだろう……、)
☂️(なんで🍵くんはあんなに険しい顔をしていたの…?)
« やっぱり🍵くんは悪い人? » お兄ちゃん達が言っていた言葉が只々☂️の頭の中で繰り返される。
でもやはり、あの時の出来事が、どうしても☂️の心に強く刻み込まれていて、それが🍵くんを良い人だと判断する材料となっている。
どんどん分からなくなっていく感情が☂️の心を渦巻き、複雑で難解な問題へとなっていく。
湿った感じの空気が、☂️の肺に張り付き、息が苦しく、しずらくなっていく。
それでもしっかりと、1つ……1つと息を吸っては吐いてを繰り返し、生きている。生き続けている。
☂️の胸に手をあてれば、ドクドク、と高く拍動し、何かに対して緊張しているような感覚。
窓の外から入ってくる涼しげな秋風に髪が揺られ、心臓が冷たく凍りつくような嫌気がさす。
何故か悔しくて……悔しくて仕方がなくて、うっすらと紅く、ぷっくりとした唇を前歯で噛む。
☂️(………学校に行く準備をしよう、。)
🌸兄達は既にリビングに降りていて、👑兄に« 行ってきます »と告げて学校へ向かっただろう。
行ってもたっても居られない謎の焦燥感に駆られ、 ☂️も自分の部屋にある準備がされたランドセルを背中に背負い、水筒を肩からさげて、リビングに降りた。
そこには、誰も居らず、只々静かな空間が広がっていた。
けどどこか、暖かな雰囲気に包まれているようだった。
そんなリビングをでて、玄関のドアを思い切り押して外へ出た。
秋の太陽は、夏のように暑くなく、冬のように冷たくはない。春と同様にほんのりと暖かく心地よい。
そんな気持ちよさになりながら、☂️は走って、学校へ向かう。
走って、走ってしまって何もかも忘れ去りたい気分に☂️は陥っていた。
ふと、🌸兄の言葉を思い出す。
« 登下校は歩いていけよ? »その言葉を思い出した時、全速力で走っていた足は段々とスピードを落とし、いずれかは止まっていた。
学校へ向かう小道の端で。
分からない。謎の感情が☂️の中で細い糸のように絡まっていく。
その糸はもう、解けることはないのだろうか__??
10話 絡まる感情_𝐟𝐢𝐧𝐢𝐬𝐡
製作者〖 月輝 星空 〗からお知らせ
この度!月輝 星空のストーリー、基《愛されずとも 嫌われようとも》が10を達成しました!!🙌🏻✨
ここまで投稿続けられたのもきっと読者様のおかげだと、私は思っております!😖✨
又、40フォロワー。本当にありがとうございます!!🥳
これからも投稿。続けていくつもりですので!良ければこの作品を楽しみに待っていて下さると嬉しいです!😙♪
それから、書きたい作品がまだまだ沢山ありますので、現在。書き溜めしながらこの作品に取り掛かっています…🙃
ですので多少、投稿頻度が下がる可能性もありますが……何卒、よろしくお願いします!🙇🏻♀️💦
それから、違う作品も楽しみにしててくださいね😉
では!ここまでお疲れ様でした!🍵
そして、これからもよろしくお願いします!👍🏻⟡.·
コメント
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一気読みさせていただきました! 続き楽しみにしてます✨

続き楽しみにしています!!!!!

この作品大大大大だーい好きです!!、