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何処から、男性が柚杏と海晴を呼ぶ声が聞こえる気がする。
蒼空に不思議に思われてるなんていざ知らず、ブラジルの化身のドール、炎伯はアマゾンの密林地帯を叫びながら歩いていた。
「お~い!何処だ〜!柚杏〜!海晴〜!」
「ん〜、なかなか見つからん!」
見つからなくて困るはずのところを彼は逆に楽しんでいた。
「うむ、どうしたものか」
炎伯は何やら腕を組み考え始めた。
「昨夜、ポロロッカが起きたから、今日は高台の方かと思ったのだがな。もう少し低めの所か」
納得したように炎伯は何度も首を縦に振り、又、歩き始めた。
「む、ジャガーか、おー、よしよーし」
炎伯は慣れたような手つきでジャガーを撫で始めた。ジャガーもゴロゴロと喉を鳴らしている。
ジャガーであっても所詮大型の猫らしい。動物を飼いならすのが得意な炎伯にとっては脅威でも何でもない。
「おぬし、俺とははじめましてだなぁ。この模様的には、ジャーの子供か?」
炎伯がそう言うとジャガーはそれを肯定するように、一鳴きした。
「まさかこんな縁が有るとはなぁ。そうそう、柚杏と海晴の居場所は知らないか?」
炎伯の質問にジャガーはついて来いと言わんばかりの顔で歩き始めた。そんなジャガーに炎伯は、「ありがとうな」と言いながらついて行った。
さて、炎伯がジャガーについて行って数分が経った。奥の方から人の声がする。そう、柚杏と海晴、蒼空の声だ。だが、炎伯は蒼空の事なんてこれっぽっちも知らない。それでも、炎伯は気にせず近づいて行った。何故かって?彼は誰でも仲良くなれると思っているからだ。
なんて楽観的なんだろう。降水確率が90%の日に、傘も持たずに『晴れる予感しかしないな!』と笑っている遠足の引率の先生みたいだ。