さて、炎伯がジャガーについて行って数分が経った。奥の方から人の声がする。そう、柚杏と海晴、蒼空の声だ。だが、炎伯は蒼空の事なんてこれっぽっちも知らない。それでも、炎伯は気にせず近づいて行った。何故かって?彼は誰でも仲良くなれると思っているからだ。
なんて楽観的なんだろう。降水確率が90%の日に、傘も持たずに『晴れる予感しかしないな!』と笑っている遠足の引率の先生みたいだ。
「お!海晴!柚杏!やっと見つけた!」
「あ、伯くん、半年ぶりだね」
炎伯を見て、海晴は子供にすら見せないほどの嬉しそうな笑顔を向けながらそう言った。
「あれ?ガーくんじゃん!」
柚杏は炎伯を此処まで案内したジャガーを指さしてそういった。
「こいつの名前はガーと言うのか。俺を此処まで案内してくれたんだ」
炎伯はジャガー改め、ガーの頭を撫でながらそう言った。
「ガーくんえら〜い!」
柚杏はガーを撫で回した。ガーもそれに応えるようにゴロゴロも喉を鳴らし、幸せそうな顔をする。
「柚杏、海晴、今日は、定期報告の日だぞ。だから聞きにした!」
「それと、おぬし、ここの人では無かろう?誰だ?」
興味津々と言ったように蒼空にそう言った。