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サイド トキ
(なんで、ジャージに盗聴器が…?)
とぼけるな。自分でもわかっているくせに。
『ジャージ、忘れないようにね』
そう言ったルネさんの顔が浮かぶ。おそらく、あの時に付けておいたのだろう。
……まずい、今の一連の流れを聞かれた?
とにかく、これをどうにかしないと。
確かこっちに……あった。
……僕は助けなんて必要ない。
「変なこと、しないでくださいね」
僕はそう呟いて、とってきたドライバーを勢いよく突き刺した。
サイド キリ
ガキン!!という音がリビングに響く。
「くっそ!なんでバレたんだ?!」
「いや、キノが仕掛けた訳じゃないだろ?」
「うーん、あの人以外と感が鋭いみたいだねぇ」
ルネは肩をすくめてみせた。
いつのまに仕掛けたんだろう。全然気づかなかった。
「でも、これでトキの周りの環境がわかったね。ようやく対策らしい対策を立てられそう」
タエはそう言って微笑んだ。
……目が笑ってないんだけど?
「ま、ほしい情報は手に入れたし、あとはあの男をどうにかするだけだしねー」
ルネは体を伸ばした。
「……ねぇ、本当にどうにかなるの?」
私はみんなにそう聞いた。
本人は助けを求めてない。まして、私たちの説得で何かが変わるとも思えない。
「できるできないじゃねぇよ」
キノは私の目を真っ直ぐ捉えてはっきり言った。
「やるんだ。俺らで。やらないと何も変わんねーしな」
ああ、そうだった。私はこの真剣な行動に憧れて、助けられてここにいるんだった。
「どうにかしてみせるよ」
そう言ったのはいつもオドオドしていたタエだった。
ただ今は目に鋭い光が灯っており、いつものオドオドした雰囲気はどこにも無かった。
「だって、そのために私がいるもん」
「……ごめん。愚問だったね」
私はふっと肩の力を抜いた。
みんなを、モンダイジ団を信じよう。
そして、私もその力になろう。
「だけど…少し急いだ方がいいかもしれない」
タエはマオのパソコンから目を逸らさず言った。
「このままじゃ、トキさん殺されちゃうから」
「「「……え?」」」
タエの言った言葉に、一人、ルネだけが笑顔を崩さなかった。