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あれからすぐのこと。私と光貴は結婚するための準備を行った。

そして今日は私たちの結婚式。式場は神戸のライブハウスで行う。


バンド活動中、お世話になってたライブハウスを一日貸し切ってライブ結婚式をした。

恥ずかしいオリジナル曲を演奏して、バンド時代の仲良くなった身内でめいっぱい騒いだ。


お互いの親は顔見知りで私たちのバンド活動も知っているので、顔だけ出してそそくさと帰って行った。親世代にはついていけないノリや雰囲気のため仕方ない。

今、似た者同士で幸せになってと笑顔を見せてくれた両親たちを会場の外まで見送った所だし。

両親はさぞ安心したことだと思う。ダラダラしていた娘がようやく結婚する気になり、今日という晴れ舞台を迎えたために、やれやれ肩の荷が降りたというような顔をしていたから。


後は孫の顔を拝むだけだから早く産んでね、と気の早いことも言われた。


子供かぁ。いいな。かわいい子供を見るとテンション上がる私。実は子供が大好き。

友人の子供をあやしたり面倒を見るのが好きだから、きっと自分の子供だったらもっと可愛いと思える自信がある。子育ては大変だと思うけれどやってみたい。

バンド活動をしているとフーテンみたいな生活を送っていると思われがちだけれど、仕事はちゃんとこなしているからね。

私は翻訳の仕事を、光貴は専門学校でギター講師にスタジオミュージシャン、採譜の仕事など、音楽に携わる仕事を着実にこなしているからきちん収入がある。将来設計も大丈夫。

光貴は散財しないし、真面目で女性と浮気をするような男性ではないし、仕事終わりでもライブ終わりでも、寄り道しないでまっすぐに私の所に帰って来てくれる。イクメンパパになる予感しかしない。

音楽の話だけでなく年齢も近くてプライベートや育った環境も考え方も似ているし、一緒にいて楽しいし、お互いオタクだし、相性の合ういい人男と結婚できる事になって良かったと思う。



でも……子供となると……それを考えると深く重いため息が出た。



本音を言うと、光貴とのセックスが辛い。

初めてシた時から全然だめだった。初体験の時は結合部分が裂けてかなり出血したからとても痛かった。そのため次にセックスする時が本気で怖かった。

二回目を実施するまで随分我慢してくれたけど、破瓜の痛みはそこまで無かったとはいえ本当に痛い。むりをしないとできない状態だった。


彼は奥手だから女性の免疫なんかないだろうと思い、そのことを尋ねてみた。すると、そのとおりだと苦笑いをして、私が初めての相手だと言ってくれた。遊んだりせず大事に抱いてくれて、嬉しかったのは事実だけれども。


お互いが初めて同士だから手探りで、あまり上手くできなくて、今に至る。


下手同士でもゆっくり少しずつ慣らしていこうと光貴は言ってくれたけれど、二人とも下手すぎて一向に上手くなる気配が無い。


多分私たちが真面目過ぎて、セックスには向いていないのだと思う。


光貴は一生懸命に愛してくれようと努力して私の身体を触ってくれる。乱暴なことは決してしない。優しく触ってくれるのに、どういうわけか感じない。なにかが違うとさえ思ってしまう。

申しわけないから感じているフリをするようになってしまい、未だに痛いと言い出せなくなってしまった。もっと早くこの悩みを打ち明けておけば良かったと思う。でも、もう遅い。



アレさえ無ければ……。レスでは子供はできない。

子供だけコウノトリさんが運んできてくれないかと割と本気で願ってしまう。



セックスについては現状どうしようもないので、子作りのために頑張るしかない。

結婚生活を送っているとレスになってしまうという女性の気持ち、私は痛いほどわかる。

逆にレスが辛いという女性を尊敬する。痛みに強いのだろう。それが快感になるドMの心情は私には理解できない。ただドMの気質はあると思う。痛いのが嫌なだけ。

だって白斗みたいな超ウルトラドS男に攻められたら、ドMの私は歓喜の涙を流すと思う。でもそれはあくまでも白斗限定に思えた。


とりあえず光貴の性欲がそこまで強い方ではないから助かっているけれど、夫婦になれば必然的に夜の営み回数は増えるよね。嫌……だな。


これが私の最大の悩みで、憂鬱なところ。それ以外の不満はない。



再びため息を吐いていると肩を叩かれた。「主役が何してるんや?」

DESIRE -堕ちていく あなたに奪われる- ~この愛は、罪~【完結】

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