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今日はニーゴの打ち上げ。新曲ができる度にみんなに会えるというのは特別感がある。まあセカイで会えるっちゃ会えるけど。
「絵名、今日は珍しく早いんだ」
「え、まふゆ奇遇じゃん!」
「同じ目的地に向かっているから、奇遇かはわからないけどね」
信号に足を止められているところで話し掛けられた。そのまま横に並んできて、するりと手を繋がれる。
「今日何食べようかなあ。お腹空いてるから今なら何でも食べられるかも」
「どうせチーズケーキは食べるんでしょ。人参も今なら食べられるの?」
「それは無理」
***
他愛もない話をして、ファミレスに着く。席には既に奏と瑞希の姿があった。二人並んで座っているので、隣は必然的にまふゆになる。
「おお、二人で来たんだ……ぁっ!」
「こんにちは、絵名、まふゆ」
「なんか、奏余所余所しくない?」
「絵名早く座ってよ」
「ああごめんごめん」
座って、荷物をまふゆとは反対側の外に置く。
「何頼もうっかな〜。あ、ミートソースパスタ見たら食べたくなってきた。じゃあ今日はこれにしよっと。あとオレンジジュース」
「注文、絵名と一緒のやつでいいよ」
「ボク達はもう決まってるし、呼んじゃうね〜」
そうして瑞希は店員を呼んで、私達はそれぞれ注文を済ませていく。
私と瑞希が中心的に話をしていると直ぐに注文通りの品が届いた。そしてコップを持つオレンジジュース二つ、コーラと麦茶だ。
「じゃあ、新曲投稿記念にかんぱーい!」
「かんぱーい」
みんなでコップを合わせあう。カチンといい音が鳴って、私達は中身を飲む。どうでもいいけど、瑞希は今日は担々麺らしい。
「そういえば、瑞希は今日担々麺なんだ」
まふゆも同じことを思ってたみたいだ。
「そりゃあ好物をずっと食べる訳ではないでしょ。そういえば、まふゆは絵名と一緒のものなんだ」
「それがどうかしたの?」
「べっつに〜。いっただっきまーす」
結構湯気が出てるみたいだけど、もう食べるのか。瑞希は二回息を吹きかけてから、麺を含んだ。
「あっっつ!!」
「なにしてるの……」
「いや、こんなに熱いと思わなくて、水水……」
「いや分かるでしょ。湯気凄いし」
「は、早く食べたかったんだもーん」
奏が水を渡して、それを飲んでいく瑞希。
「あ、」
すると瑞希の持っていた箸が一本するりと手元から落ちていった。
「ちょっと、何してるのよ……」
「なんか、驚きすぎて力入らなかったみたい」
「大丈夫なの……?」
「大丈夫大丈夫〜」
瑞希は私の声をさらりと受け流して机の中へ潜っていく。
「えっ!? いっッたぁ……」
驚きの声と共に、机がガンッとなる音。瑞希が頭をぶつけたのだ。
「ちょ、瑞希ほんとに大丈夫!?」
「ふぅ……何でもないよ……」
直ぐに苦笑した瑞希が上がってきた。いや、何かあったからそんな風になったのではないのか。
「もう、絵名達も食べなよ」
「ああ、そうね。うん」
先程から手の力を抜いてはいるのだが、まふゆが離さないのだ。まふゆに視線をやると、漸く納得したのか手を離してくれた。
少し悲しそうな顔をするのは、やめてほしい。