テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
沈んでいく。
海のそこへと。
手を伸ばす。
腕を掴まれる。
そのまま引き上げられるかのような感覚が伝わる。
ガバッ
目を覚ます。
________________________________
「 はッ…… 」
はぁ、はぁ…と。少し乱れた呼吸が部屋中に伝わっていく。
見慣れない天井が、視界に映る。
自分の現在の状況を知るために、ゆっくりと身体を起こす。
白がメインの空間。腕には点滴がついていた。
窓のある方へ向く。窓越しに映っている景色は”普通の青空”だった。
あれ、さっきまで”懐かしい”誰かと”懐かしい”場所に居たような……
「 d先生!!! 」
声のした方へ向く。
見慣れたメンバーがいる。
「 お前、大丈夫か? 」
「 心配したんですよ 」
「 ほんま、撮影中に急に倒れたし…… 」
撮影中…?
そんな言葉を聞いた途端、思い出す。
そうや。
僕……いや”俺”、いつも通りみんなと一緒に撮影しとったんやった…
「 返答もなんも無かったんで、救急車呼んだんですよ 」
「 まじでビビったわ…あ、ちなみに病気とかなんともないらしいから安心しーや 」
「 あ、ありがとう…? 」
撮影中に、急に視界が横転して……そこからの記憶はほぼない。
まぁ、身体になんともないのは安心した。てか救急車で運ばれるってすごいな俺……
「 …あ、そういやtn、 」
何かを話そうとするが、突然言葉が詰まる。
「 …?どしたん? 」
首を傾げながら、”tn”はこちらを見る。
他のメンツも、不思議そうに見つめる。
あれ、俺は何を話そうとしたんやっけ
「 いや、なんか話そうとしたけど忘れたわ! 」
「 え、utお前…老化進んでんのちゃうん 」
「 え、嘘ォ?!? 」
「 確かに、よく見たら老けてますもんね 」
「 確かに 」
「 ほんまや 」
「 ちょ、待って待って?!?!?? 」
「 もちつけもちつけ 」
「 餅なんかつけるかぁ!!! 」
________________________________
『 ふたり / ぼっち 』
完結。
2026/10/06
▓▓「 こんな辛い前世なんて、忘れるに限るんやで。 」
________________________________
解説は次の話で。
コメント
1件
完結おめでとうございます……! 海に沈んでいく夢のシーンから始まって、気づいたら病院で、仲間に囲まれてるあの温度差がすごく好きです。撮影中の倒れた記憶が曖昧で、“老化進んでんのちゃうん”って軽く流される感じも、このチームの空気をちゃんと閉じられてるなって思いました。 「ふたり / ぼっち」というタイトルが伏線みたいに残って、解説を次の話に回す余韻も含めて、静かにじわっとくる最終回でした。お疲れさまです、hitori。さん☕
31
#二次創作
柘榴
2,437