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#ワンナイトラブ
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◆
ふわふわと、心地よく、身体が揺れる。
────やだ。
子供の頃、泣きじゃくったあとみたいに身体が火照って、怠くて、頭の奥がぼぅっとして、何も考えたくないのに、そうしなきゃいけないのが腹立たしかった。
────おふろ、入りたく、ない。
だけど、頑なに首を振る私を見て、彼は優しく微笑んだ。
『風呂、嫌いなんですか?』
『ちがうよ、むしろだいすき』
『……風呂場で浮気相手とヤッてた?それを、見たの?』
『……うん』
ふぅん、気だるげな声が聞こえれば、彼は、突然私の手を引いた。
『やだ、はいらない!』
『はいはい。一緒にいるから』
『…………本当に?』
ぼんやりとした靄のかかった視界の中で見上げれば、それとほぼ同時にだぼっとしたTシャツを剥ぎ取られた。下着も何も付けていなかったのか、簡単に私の身体はその状態となった。
一緒に入ると言っても、彼は衣服を身にまとっており、私の身体をシャワーで流すだけだった。
二の腕をぎゅっと掴んで、身を縮こませて、動こうとしない私の身体に丁寧に泡を付けて、髪まで洗ってくれると次第に私の緊張も解れる。
『常葉くん、優しいね』
『…………そうですか』
『常葉くんの声聞くと、なんだか眠くなってきたなぁ』
『風呂場で寝るなよ』
怠そうな声が背後から聞こえれば、急に腕が伸びてきて、私の胸を揉み扱いた。
『んぁ、まって』
『まだ寝ちゃだめですよ』
そう言って片腕が捕まると持ち上げられて、二の腕のいちばん柔らかいところに小さな痛みが走った。
『いった、なに、』
『これ、見たら?』
声のするほうを見れば、腕と脇腹の間から顔を覗かせ、そこに舌を這わせていたずらっ子みたいな笑みを零すその人と目が合う。
『あの人のこと、思い出さないんじゃないの』
突然シャワーが水を吐き出すので、狭くて湿った空間には、流水音と私の声と、蜜が混ざりあう音だけが響いた。
ぼんやりとする意識の中で
『あんたが覚えてたら、ですけど』
甘い声が、ゆらゆらと、揺れた。