テラーノベル
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何が何だか、自分でもわからなくなっていた。
怪我をして、自分の得意なものをなくして、
そのおかげか髪型も変わって明るくなって…
なにが本当の自分?
感情のコントロールがうまくできなくなっていた。
「ねぇ、バレエちゃん!松井のこと好きなの?
好きって顔に書いてあるけど!」
「やめなよ!恥ずかしそうにしてるよ!」
よくある茶化しに、そろそろ嫌気が差していた。
「あのさ…」
怒ろうと思った瞬間、
「お前らひとが嫌がってることは辞めろよ」
松井くん…?
ありえないほどの大きい声で、彼らを怒鳴りつけた。
「ごめん…なさい」
クラス中に響き渡る声で、一気に静まり返るような声で、でもなにか優しさを感じる声で、私の心が揺らいだ。
私のために…怒ってくれた。
初めてだった、こんな経験は。
殺伐とした雰囲気に笑みが溢れてしまうぐらい、彼が愛おしく感じた。
これが恋なのか。
「ごめんね、あいつらバカだからさ」
松井くんはまたあのクールな目で、私を見下ろした。
ちゃんと立つと身長が高い…
そういう男らしいところにもキュンとしてしまった。
でもこれが恋だとはわからない。
わからないからこそ、変なときめきや感情に襲われてしまったのだ。
はぁ、疲れる。
でもそんな感情より先に、松井くんが気になるようになった。
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