テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
.⋆𝜗𝜚 ┈┈┈ ⋯ ┈┈ 𝑠𝑡𝑎𝑟𝑡 ┈┈ ⋯ ┈┈┈𝜗𝜚.⋆
深夜11時過ぎ。
部屋の鍵が回る音がして、
瑠姫は目を閉じたままソファにいた。
別に門限なんて決めてないけど、
今日の 純喜 のスケジュールを考えれば、
帰ってくる時間はとっくに過ぎている。
玄関からリビングまでの距離を測るような、
少し躊躇いのある歩き方。
「……瑠姫っ… ただいま」
乾いた声が落ちて、
その次には沈黙があった。
瑠姫はゆっくり目を開け、
リビングの明かりを点けた。
「純喜……遅かったね」
ソファに座ったまま、穏やかに言う。
純喜は少し驚いたような顔をして、
目を伏せた。
「ごめん、ちょっと……いろいろあって」
「….“いろいろ”って?」
「……会いたいって言われて。ちょっとだけやし、って思って……」
ほんの少し声が震えていた。
言い訳を用意していたわけじゃない。
ただ、咄嗟に正直には言えなかったんだろう。
俺にはそう感じた。
「誰に?」
「……」
瑠姫は立ち上がって、純喜に近づく。
ゆっくり、ゆっくりと歩きながら、
焦らすように距離を詰める。
「誰に会ってたの?」
「……ただの知り合いや。なんもないよ。ほんまになんもしてへん。信じて……」
その目は赤く、少し潤んでいる。
嘘は下手なやつだ。
だけど、嘘をつく理由くらい、わかってる。
「なにもない、ねぇ」
瑠姫は微笑んで、すっと手を伸ばした。
純喜の首元、シャツの第一ボタンを外す。
「純喜……シャワー、浴びてないよね?」
「……えっ」
「浴びたの?」
「いや、浴びてないよ..」
「…だってその、まっすぐ帰ってきたし…」
「ふーん」
またひとつボタンを外しながら、
瑠姫は顔を近づける。
鼻先が触れ合う距離で、囁くように言う。
「じゃあ……身体に触れてみればわかるよね。今日、ほんとに“なにも”なかったのか」
「瑠姫……いやっ、」
「チュッ」
唇を塞ぐようにキスをした。
抵抗しようとした腕を簡単に掴んで引き寄せ、そのままベッドへ押し倒した。
「……証明してよ、純喜」
「俺だけしか知らない身体なんだろ?
なら、見せてみてよ。」
「……今日、誰にも触れられてないってこと
を」
純喜はベッドに押し倒された。
服のボタンがゆっくり外されるたび、
心臓の音が大きくなる。
「ほんまに……なんもしてへんって……っ」
「知ってるよ」
間髪入れずに返された言葉に、
純喜の喉が詰まった。
「……え?」
瑠姫は、じっと見下ろしていた。
薄暗い部屋の中で、
瞳だけが異様に冷たく光っている。
「してないってことは……俺だってわかってる。純喜 が他のやつに抱かれるほど、弱いはずないもんな」
「だったら……なんで……」
「……罰でもご褒美でもない。ただの“確認”だよ」
「お前の身体が、まだ俺のもんかどうか。
……確かめるだけ」
その声は優しいが、明らかに怒っていた。
純喜は小さく首を横に振る。でも、何も否定できなかった。
服が脱がされていく。
触れられるたび、少し震えてしまう。
けど、拒む気力はもうなかった。
「……怖い?」
「こわい、瑠姫……お前の怒ってる顔、見たくない……」
「じゃあ、怒らせるようなこと、すんなよ」
淡々とした言葉に、喉の奥が熱くなる。
涙がこぼれて、目尻からシーツに落ちた。
その涙を、瑠姫は指先で拭って、キスをする。
まるで赦しを与えるみたいに、やさしく、
でも逃がさないように。
そのまま、瑠姫は純喜の身体に触れていく。
どこに、どれくらい触れれば、どんな声が出るのか。
どんな風に見つめれば、純喜が目を伏せるのか。
「…っ、あ……//」
「…いややっ…瑠姫っ、///」
すべて知っている。
だからこそ、確かめずにはいられなかった。
「っ…お前は俺だけ見てろよ」
「誰にも、笑いかけんな」
「……俺以外の人間に、触れられんな」
純喜は震えながら、でも小さくうなずいた。
「っわかった…からっ…」
「瑠姫のことっ……//好きや..ほんまに、お前だけやってっ….//」
唇を重ね、指を絡め、息が乱れて、熱が増していき。
ふたりの世界の中に、第三者はもういなかった。
どれだけ苦しくても、悲しくても、壊れても――
「好き」という言葉だけが残る…
翌朝
「いッ…」
目が覚めた瞬間、身体の節々が鈍く痛んだ。
でも、それ以上に胸の奥が重かった。
…なんで、あんなことになってしまったんだ。
シーツの中でそっと身を丸めると、
隣には誰もいなかった。
暖かさだけが、まだそこに残ってる。
「……瑠姫ッ…おらんの、?」
名前を呼んでも、返事はなかった。
寝起きのぼんやりとした頭で、枕元のスマホに手を伸ばす。
通知はひとつもない。
メッセージも、未読のまま。
それだけで、心がひゅっと縮んだ気がした。
……怒っているのだろうか。
それとも、呆れられているのだろうか。
罪悪感でいっぱいだった。
あの夜、自分がなにを言ったのか、
どこまで求めてしまったのか。
はっきりとは思い出せないけど、
“涙”を流したことだけは覚えてる。
そのとき、キッチンの方からかすかな物音がした。
慌てて起き上がると、足元のふらつきに思わず苦笑する。
「……やりすぎやって、ほんま……」
リビングに出ると、背中を向けた瑠姫が朝食の準備をしていた。
フライパンの中で、目玉焼きがじゅうっと音を立てている。
「……おはよう」
思い切って声をかけると、
瑠姫は振り向かずに言った。
「起きた?」
「うん……あの、昨日は……」
「パンと、ごはんどっちがいい?」
「え……」
会話が、妙に普通すぎて、言葉を失う。
まるで何事もなかったかのように、瑠姫はサラダを盛りつけている。
「……怒ってへんの?」
しばらくの沈黙。
それから、瑠姫はゆっくりと顔を上げ、目を合わせて言った。
「怒ってるよ」
「でも、お前のこと嫌いにはなれなかった」
その声は、昨夜よりもずっと静かで、優しかった。
🔚
お久しぶりです^т⩊т^
ちょっと暗めな感じのが書きたくなったので
また新しくお話作らせてもらいました😴🥂
これからまた暇な時投稿してきます🎶💘
♡と💬まってます💋💕
こちらでもリクエスト待ってますჱ̒ˆT ˙̫ Tˆ💭
コメント
3件
書くの上手すぎてます!! キュンキュンしました!
わ最高です ㅠㅠ るんきの立場も口調も全部完璧すぎてマジでぶっ刺さりました ..