テラーノベル
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一人は好き。
独りは嫌い。
我儘だな。
だからこの砦で僕は誰かを待っている。
届かないと解りながら歌を唄う。
「その歌、いいね。」
声を掛けられて我に返る。
「僕は藤澤 涼架。その歌、どうやって作ってるの?すっごい心に来るんだよね。」
急に話されてびっくりした。
それが顔に出ていたのか、
「ごめん。急に話しかけられてびっくりしてるよね。僕は藤澤 涼架。君は?」
「大森 元貴。」
向日葵みたいに笑う笑顔は眩しくて、でも優しく包んでくれる。
そんな言葉が合うんじゃないかと思った。
きっと、この笑顔で何人もの人を笑顔にしているのだろう。
考え事をして黙っていた僕を不安に思ったのだろうか。
「ところで、なんでこんなところに居たの?」
と声を掛けられる。
「本当の自分を一緒に見つけてくれる人を待っていたんです。」
と言うと、少し驚いてから、
「そっか。」と優しく返される。
心地よい声と、ふわふわとした雰囲気が、僕の何処かに空いた穴を埋めてくれる。そんな気がした。
気づけば、
「藤澤さんは、きっと沢山の人を笑顔にしてきたんでしょうね。」
と口にしていた。
その言葉に驚いたように、
「僕は人と話すのはあんまり得意じゃないから。」
予想外の答えに僕は唖然とする。
「こんなこと話しちゃってごめんね、!ここは寒いだろうからこっちにおいでよ!」
「はい。ありがとうございます。」
この人は裏が在るなと、分かった。
でも蓋をして今は仕舞っておこう。
「元貴、こっち!」
ふにゃっと笑うところがまた、可愛らしい。
「はい。」
釣られて笑ってしまう。
嗚呼。神様。僕なんかが幸せになってもいいのでしょうか。
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