藍Side
何が起こってるんだろう‥‥。
不意に起こった出来事に思考が追いつかない。
黙って俺を見下ろしていた小川さんの顔が接近して‥
まるでスローモーションのような動きに感じた後‥
柔らかいものが‥唇に触れた‥
瞬きを忘れ‥ただ目の前の小川さんの顔を見つめる。
でも‥
ペロリと唇を舐められた時に‥ハッと気付き‥慌てて顔を背けそのキスから逃れる。
「えっ‥な‥んで‥」
まだ驚きの方が強く、上手く言えない‥
そんな俺を‥小川さんは静かに見つめている。
「お前‥隙ありすぎ!」
「えっ?」
「そんなんだから‥祐希さんが来るんだよ」
「祐希さん?」
何で祐希さんの名前が‥出るんやろ?そんな俺の考えている事が分かったのか‥
小川さんは大きくため息をつきながら‥
「俺、言ったよな?祐希さんには関わるなって‥」
「‥‥‥‥うん」
「だけど、それを破った‥俺に嘘ついて‥」
「!?‥嘘なんて‥」
言いかけた俺の口元を小川さんが押さえ込む。
「嘘だよ‥俺‥見たもん‥藍が祐希さんとキスしてるの‥」
「!?」
‥見られていた!?
どこで!?
必死で記憶を辿る‥。そんな俺の顔を見て‥乾いた笑みを浮かべる。
「藍は気付いてなかったもんね、気持ちよさそうに祐希さんとキスしてたから‥」
そう言うと、口を押さえていた手を離し‥
「‥関わるなって言ったろ?そんなに祐希さんがいい?それとも‥身体が疼くの?1人じゃいられないぐらい‥?」
おもむろに中心部分を握られ‥短い悲鳴が口をついて出る。
「やっ‥」
「はっ、よく言うよ‥あんなに泣いて傷ついていたと思ってたのに‥その後も祐希さんに抱かれてたんだろ?俺に嘘ついて‥」
「!‥ごめん、嘘つくつもりやなかった‥ただ心配かけたくなく‥あっ、」
俺の中心を握る手に力が込められ、その刺激で言葉にならない‥。
「謝らなくていいよ‥もう」
小川さんの顔がおもむろに近づき‥冷たい目が俺を見つめる‥
「藍は寂しいんだろ?だから、祐希さんに求められるといくんだよ‥」
「ちがッ‥」
「そうだよ‥現にほら、俺が触ってても感じてるじゃん」
‥小川さんが言うように、刺激を与えられている部分は、意思に反して固くなり‥その存在を主張していた。
「‥安心しろよ、これからは俺が‥相手してやる」
そう言ったかと思うと‥いきなり、ズボンを
脱がされ直に小川さんの手が俺のモノに触れる。
「あっ、いややっ」
咄嗟に手で払い除けようとした。いつもそばにいて支えてくれて‥意地悪な事も言うけれど誰よりも頼もしいと思える先輩の手が自分のモノに触れていると思うのは何よりも耐え難かったから‥
力でならなんとかなる‥そう思っていた‥
なのに‥
「暴れんなよ‥いいの?俺、喋るよ‥祐希さんの事」
「えっ‥‥」
その言葉には俺を止める効果が絶大だった‥
「‥嘘‥喋らへんって言うたやん‥」
「‥藍が嘘つくからだろ‥」
事も無げにそう言う小川さんの顔を見ると‥本気のようだった‥。
「小川さん‥ごめん‥」
必死で謝るが‥小川さんはもう聞いていない‥俺を握る手に力を込めて上下に扱いてくる‥
耐えようと思った‥せめて‥
だが、悲しいかな、男の身体は‥小川さんの刺激に喜ぶように反応し、先走りまで溢れてくる‥。
それを与えているのが小川さんだと思うと‥堪らなかった‥羞恥心で張り裂けそうだ‥
「も‥や‥めて」
何とか小川さんに許しを請う。
「小川‥さん、やだ‥‥と‥智さん‥おるやん‥だから‥」
やめて欲しいと告げる。
「藍ってほんとバカ、ここで智さんの名前出したら俺が止めると思ってんの?」
生半可な気持ちじゃねぇし‥そう言うと、更に刺激を与えられていた部分に力が込められる。
そのたびに身体が反応し、抑えきれない。
「‥ねぇ藍?祐希さんはどんな風にお前を抱くの?」
せめてもの抵抗で横を向いていた俺の顔を強制的に自分の方に向け‥妖しい瞳で小川さんが尋ねてくる。
「お前が抱かれてるんだろ?どう?やっぱり上手い?祐希さんは?‥既婚者だって知ってても抱かれてるんだもんな‥それだけ気持ちいいんだ?こんな合宿の間‥何回も身体、重ねるぐらい‥」
「やっ、言わん‥で」
何故そんな事を聞くのだろう‥俺は堪らず耳を塞ぐ‥聞きたくなかった‥そんな言葉‥
小川さんは‥軽蔑しているのだろう‥
既婚者だと知っているのに、それでも関係を続ける俺を‥きっと‥
でも‥それでも‥離れられなかった‥
いつの間にか‥大粒の涙が流れる。そんな俺を見ながら‥
「藍‥お前は泣いてばかりだよな‥」
スッと頰を撫でられ、涙を拭われる‥。
「‥お‥がわ‥さん」
「だから!言ったんだ!祐希さんとは関わるなって!お前は何回言えばわかるわけ?」
激しい激昂に言葉が出ない‥
「愛してるとでも言われたの?それを信じてる?藍はバカだよ、そんなの信じるなんて。祐希さんは結婚したんだ!お前は捨てられたんだ、愛してるわけないだろ!」
小川さんの言葉が全身に突き刺さる‥。
そうだ‥
その通りだと思う‥
分かってる‥
だからこそ、苦しかった‥
そして‥涙が止まらない俺を‥激しく責め立てた小川さんの‥
目からも涙が溢れていた‥。
その涙が俺の顔に‥零れ落ちる‥
「‥いい加減気付けよ‥バカ‥」
そして‥再び唇を塞がれる‥
だが‥
何故かもう
抵抗する気はなかった‥
「藍‥何も考えなくていいから‥」
そう耳元で言われた気がした‥。
俺の中心をまた小川さんの手が‥包みこむ‥
優しく上下に‥
「ふっ‥」
こんな状況なのに‥触られている部分は熱を持ち‥吐息が漏れ出てしまう。
堪らず目を閉じる‥。
ギュッと目を閉じると‥涙が溢れ‥その涙を小川さんが舌で舐め取り‥
「藍‥今は俺を‥感じて‥今だけでいいから」
そう呟く声は震えていた‥。
おそるおそる目を開け‥真っ直ぐに小川さんを見つめる。
小川さんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった‥
きっと
俺の顔もそうなのだろう‥
なのに‥
「藍‥お前は綺麗だよ」
そう言って小川さんの顔がゆっくりと俺に近づき‥首筋にピリッとした痛みを感じる。
噛みつくようなキス‥。
そして、中心への刺激が続き‥巧みな手の動きで‥もう限界だった‥
「‥だ‥め、も‥いく‥」
「ん‥‥いいよ」
藍‥‥耳元で熱く名前を囁かれ‥‥
堪らず熱を放ってしまう‥
はぁはぁと息が上がる。
そんな俺の顔を見て‥
「藍‥俺‥お前が好きだ」
本当は気付きたくなかったんだけどな‥
‥小川さんはそう言って薄く笑っていた‥。
何かが壊れる‥
そんな音がしたような気がした‥
それは俺達の関係なのか‥
それとも‥‥‥‥‥‥。
コメント
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幸せになってほしい…祐藍😭 ダメだよぅ小川さん😭 小川さんも幸せでいて欲しいー