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第4機捜の分駐所があるビルの屋上。

夜景がまぶしく光っていて、少し強めの風が髪を揺らす。私は志摩と肩を並べて立ち、どうでもいいような話をして笑っていた。


「まぁなぁ…その気持ち、受け取るよ。」

志摩がそう言って、わざとらしく肩をすくめる。恋愛のことを茶化されて、私は少し頬を膨らませる。


「からかわないでよ、真面目に聞いてってば。」


そんな会話をしていた時だった。


「志摩ちゃぁん!何二人で話してんの?!」

背後から元気すぎる声。伊吹が、夜風に髪をなびかせながら屋上に飛び出してきた。


「えっ」

私は思わず振り返り、志摩は苦笑した。


伊吹は私と志摩を交互に見て、眉を吊り上げる。

「…え?なに?…え?!志摩への告白じゃねぇの?!」


「ち、違っ…!」

私は慌てて数歩後ずさる。心臓が跳ね上がり、呼吸が速くなる。


志摩はそんな私をちらと見て、ため息混じりに笑った。

「…じゃあな。伊吹。あとは二人で。」


肩をポンっと叩き、伊吹の横を通り過ぎて去っていく。残されたのは私と、顔を真っ赤にして立ち尽くす伊吹。


「伊吹くん?!まじで、なんでここにっ…ちょ、志摩?!どこ行くのよ!!」

必死に呼び止めるが、志摩は背中を向けたまま手をひらひらと振るだけだった。


「な、違うの、さっきのは、ほんとに志摩じゃなくて――」

必死に弁解しようとすればするほど、言葉が空回りしていく。


伊吹はぽかんと私を見つめたあと、耳まで真っ赤にして、「……っ」と口を閉ざし、くるりと背を向けて走り去ってしまった。


私は呆然とその背を見送り――その夜、桔梗の家に転がり込んで酒をあおる羽目になる。


「うぅ”…伊吹くんに…っ、振られちゃったぁ”…もう4機捜行けない…、もう知らない…」

涙と酔いでろれつも怪しいまま、ソファに沈んで眠り込んだ。



目を覚ましたとき、視界に飛び込んできたのは伊吹の顔だった。

「……え?」

思わず起き上がりかけて言葉が詰まる。


「…???伊吹、…く、…?ん、…ちょ、…ゆづちゃん…?!なに、ちょ、…」

後ろで桔梗が腕を組んでニヤニヤしている。


伊吹は気まずそうに頭をかき、ぼそぼそと口を開いた。

「…昨日、悪かった。その、…俺も、…好き、だし…、ほら、ラブ…の方?」


鼓動が一気に高鳴る。私は顔を真っ赤にして、伊吹がかすかに震える声で言った。

「…その、…だから、昨日…、俺も、好きって…言いたくて…」


桔梗はおかしそうに肩を揺らして笑いながら部屋を出ていく。

残された私と伊吹は、互いに視線を合わせられず、ただ頬を赤く染めたまま固まっていた。



翌日の第4機捜。


「伊吹!お前一旦落ち着け!なにしてんだよ…?おいそれ重要書類!シュレッダー入れんじゃねぇ!」

志摩の怒鳴り声が分駐所に響き渡る。


「志摩ちゃぁん…、これ、いらねぇよな…、」

真っ赤な顔の伊吹が手にしていたのは、捜査に必要な書類の束だった。


「やっぱ昨日からおかしいな、お前。」

志摩は頭を抱え、桔梗はそんな二人を見て笑みをこぼす。


私は机の端に座り、こっそりと伊吹の横顔を盗み見て、小さく笑った。


誤解は解けた。けど、しばらくは落ち着かない日々になりそうだった。


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