ローザリンドが魔法陣を解読し続ける中、床にあった五角形の紋章が再び輝き始めた。その光は柔らかく、しかし次第に強烈になり、空間全体に広がっていく。
フィンが剣を構えながら周囲を見渡した。「これは…何かのサインか?」
ローザリンドが光の中で微笑む。「分かったわ。この五角形は完結しているんじゃない。他の五角形とつながることで新たな形になる仕組みよ。」
アリシアが疑問を口にする。「新たな形って?」
ローザリンドが手を広げ、空間に描かれる幾何学模様を指し示した。「五角形が5つ結合すると、新しい五角形が生まれる。そして、それを繰り返していくと、巨大な構造が形成されるの。」
ローザリンドは光の粒子を操りながら説明を続ける。
「これはフラクタルと呼ばれる数学的な現象。単純な形を繰り返し拡張することで、無限に続くパターンを生み出すの。五角形の場合、それがどこまで続くかを考えてみて?」
ドレイクが眉をひそめる。「無限に?」
「そう、無限に。」ローザリンドは頷く。「最終的に形成される形は、世界そのもの、あるいは宇宙全体を表すと言われているわ。」
「つまり、この五角形を追っていけば、宇宙の秘密に行き着くってことか?」フィンが息を呑んだ。
神殿の中心から、光の筋が5つの方向へと伸びていった。その先には、それぞれ異なる地を示す魔法の地図が現れる。
ローザリンドはその地図を見つめながら言った。「これが、5つの五角形の位置よ。それぞれの場所に同じような仕掛けがあるはず。そして、それらを全て繋げることで、新たな五角形が作られるわ。」
アリシアが地図を指さしながら言う。「でも、この1つは海の中に見えるけど?」
ローザリンドが肩をすくめた。「場所は問題じゃないわ。それがどこであれ、行かなきゃならないの。全てを繋げた時、初めて私たちはこの世界の本質を理解できるのよ。」
ローザリンドは再び光の魔法で五角形を描いた。小さな五角形が徐々に拡大し、5つの点が結びついてさらに大きな五角形を形成する。その繰り返しが、やがて空間全体を覆うような巨大な形へと変わっていった。
「見て。これが五角形を繰り返し作った結果。私たちが見ている宇宙そのものの縮図かもしれない。」
フィンはその光景に圧倒されながら呟いた。「これが…本当に宇宙の形を示しているのか?」
ローザリンドは頷いた。「古代の魔術師たちは、五角形を宇宙の象徴と見なしていた。全てが結びつき、一つの完全な形を成す。その中心には、全ての謎が隠されているわ。」
地図に示された5つの場所を目指すことを決めた一行。ローザリンドは地図を丸めながら言う。
「次は、この海の五角形に行きましょう。最初の鍵がそこにあるはずよ。」
フィンが剣を背負い直しながら笑った。「海ってことは、また厄介な敵が出てきそうだな。」
ドレイクが肩をすくめた。「まあ、魚と戯れるのも悪くないだろう。」
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