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2 - 第ニ章〜夜明けの残り香

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2025年04月19日

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第ニ章

―1― 再生数1億回を超えた朝

その日、タプの携帯にはスタッフからのLINEと通知が山ほど届いていた。

「YOU (Unheard Ver.)」が、わずか3ヶ月で1億回再生を突破したというニュース。

ランキングは世界中で1位、SNSは数ヶ月間“あれはジヨンのことじゃないのか”という考察で持ちきりだった。

でもタプは、ほとんど無表情のままベッドに沈んでいた。

隣にいたのは、ジヨンだった。

裸の背中を向けたまま、スマホでインスタの投稿を編集中だった。

「ほら、たっぴょん。これ匂わせっぽくない?」

そう言ってジヨンが見せてきたのは、

タプのスタジオで撮られた“誰のものとも明かさない”椅子の写真。

角度を工夫して、ブランドロゴもぼかしてあって、でも見る人が見ればわかるように。

「…おまえ、また炎上狙ってんのか」

「狙ってない。愛を共有してるだけだよ?」

いたずらっぽく笑うその顔を、

タプはどうしても憎めなかった。


―2― 君のための声、誰にも気づかれず

深夜、ジヨンはタプの書いた曲のコード進行をいじっていた。

“G”のコードにだけ、ゆっくりとフェードをかける。

あからさますぎない、でも意味を込める。

「音でしか言えないんだろ、俺のこと好きって」

そう囁いて、タプの首筋に口づける。

その温もりは、罠みたいで、でも甘かった。

「じゃあ、おまえも曲にすればいい。俺のことを、歌ってみろよ」

そう挑発するようにタプが言うと、ジヨンはふと真顔になった。

「……やってみる」


―3― G-DRAGONの新曲、「T」を隠したまま

1か月後、ジヨンが新曲「THEM」を出した。

MVでは白いスーツを着た人物が、黒い影と何度もすれ違う。

誰ともわからない相手。でも、最後に映る手のラインと、首のほくろ。

「これ、タプのことじゃん」

「指、完全に一致してる」

「最近ずっとスタジオ一緒らしいし」

SNSはまたも騒ぎになった。

ファンは気づきかける。

でも事務所は、黙っている。

ジヨンとタプは、また一つ、外の世界と距離を取って、

ふたりだけの部屋で静かにキスをした。


―4― ライブの“偶然”と、聞こえない私語

とあるライブのステージ、

ジヨンがMCの最後に言った一言が、ファンの間でバズった。

「誰かさんのこと、ずっと見てるよ。

今も、目の前で、ね。」

そのときカメラには、たまたま(本当に?)タプが映っていた。

飲み物を口にしながら、目線をそらして笑っていた。

一部のファンは“偶然”と笑った。

でも本当のコアなファンは――知っていた。

このふたりは、もうとっくに「芸術の名を借りて繋がってる」のだと。



テラーなれん

第三章〜


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