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「ストレスは体に毒だ」
人生で一度は耳にしたことがある言葉だ。
今日、私はその意味を骨の髄まで思い知らされた。
朝から雨が降っていた。
私が死ぬほど嫌いなものの一つだ。
雨の日に限って、泣きたくなるような出来事が必ず起きる。
大雨でいつもの倍は混んだバスと電車を乗り継ぎ、今日も出勤する。
顔も見たくないほど嫌いな上司と同僚に、形だけの挨拶をして仕事が始まる。
「また今日も、死んだように生きる一日が始まる」
そう思っていたこの日が、私の人生を大きく変える日になるとは知らなかった。
「加藤!お前の担当は、いつまで経っても仕事が入ってこないな。人間一人まともに売り出せないのか!」
世界が滅んでしまえばいい、そう思わせるような声が頭に響く。
「申し訳ありません。私の力不足です」
口に染みついた謝罪を吐き出す。
「毎回同じ台詞ばかりだな。口より体を動かせ!」
上司は大きくため息をついた。
今日も私は、担当している俳優を売り込むために奔走する。