テラーノベル
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未来ちゃん歌大好き
ほんとは、気づいてた。
あの人が何度もこの場所に来てること。
同じ時間、同じルートで、
ばかみたいに真面目に探してること。
……ほんと、そういうところ。
だから今日は、逃げなかった。
「まだ探してたの?」
声をかけた瞬間の顔、
ちょっと面白かったな。
驚いて、でもちゃんと嬉しそうで。
近づいてくる足音。
あの夜より、迷いがない。
——いいね、そういうの。
本当なら、ここでまた離れるつもりだった。
いつも通り、捕まらないままで終わるはずだった。
でも。
「……今日は、いいよ」
気づいたら、そう言ってた。
少しだけ、試してみたくなった。
この人がどこまで来るのか。
「捕まえた?」
わざと軽く聞いたのに、
返ってきたのは予想外の言葉。
「まだ」
……ずるいな、それ。
その一言で、全部見透かされた気がした。
捕まらないままでいたかったのに、
少しだけ、捕まってもいいと思ってしまった。
この夜が終わる頃、
私はどっちを選ぶんだろう。
逃げるか、
それとも——
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