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「ママー。お腹へったぁ」
「亜優、おかえり。一番やったなぁ。速くてビックリしたわ」
「うん、一番やった!千愛ちゃんは?あ、千愛ちゃーん。ここ、ここぉ」
「亜優ちゃーん」
大きく手を振りながら千愛もシートまで来ると
「千愛、玉入れ7個も入れたな。すごいな」
と夫が言う。
千愛はウンウンと頷いているけど、たぶん自分の入れた数なんてわかっていない。
だって、赤い玉を投げた瞬間に下を向いて次の玉を持っていたもの。
自分の投げた玉の行方なんて見ていなかったわ。
千愛は、玉入れで赤組が勝った! というだけで満足そうだ。
撮影しながら娘の入れた玉の数を正確に数えていることに驚くわ。
「パパ、すごい汗…」
千愛も引いてない?と思った時、直美さんが
「亜優、手、洗った?」
と話を変えるように亜優ちゃんの肩をたたいた。
「あ……まだ」
「亜優ちゃん、一緒に行こ。私も洗ってない」
「おっけー」
二人が手を洗いに行くと
「何でも“おっけー”やな」
と呟きながら、直美さんがお弁当と取り皿、お箸を出す。
私も保冷バッグからお弁当を出していると
「「ただいまぁ」」
子供たちが帰ってきた。
「わっ、タオル、タオル……はい。亜優、顔も洗ったん?」
「あついから」
「亜優ちゃん、お弁当食べよ。あぁ、そのサンドイッチ、何?」
千愛が座りながら指差したのは、直美さんが作ったサンドイッチ。
「これ?BLTって言って、ベーコンとレタスとトマト。玉子サンドは傷むと怖いと思って、カリッと焼いたベーコンにしたの」
「「美味しそう」」
声を揃えたのは、千愛と夫……
「よかったら、どうぞ」
「いや。それはアカン」
「「はっ?」」
中西さんの否定に、声を揃えたのは、直美さんと夫……
「よその男に直美が作ったものを食べさせるわけない」
「ちょ……ちょっとっ、何言うてんの⁉」
バンバンと直美さんが中西さんの膝を叩くと
「傷む心配のあるくらいの季節の弁当……家で食べ慣れたものの方がいいんじゃないですか?」
と、中西さんが夫を睨んだ。
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