テラーノベル
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佐野:…は、っえ?
え、今の何だったんだろう。仁人が俺に、一緒にいてって、言った、?幻聴?
仁人は少しボーッとした表情でこっちを上目遣いで見ていたか、俺が固まっているのに気付いたのだろう。フッと目を逸らし両手で顔を隠す
吉田:…すみません、っ、忘れて、ください、
…俺、仁人の沼に引きずられているのかもしれない。正直気付かないようにしていた。部下だから守るって、俺自身を正当化しようとしていた。でも、いつもと違う、仁人の姿を見れば見るほど、義務としての守るから、好きだから守るに変わっていった
俺は仁人と同じ目線になるようにしゃがむ。仁人は手で顔を覆っているが、耳は赤く染っていた。そんなふうに照れてる姿も可愛くて、
佐野:仁人、手、外して、?
俺はそっと手に触れると、ビクッと震えながら恐る恐る手を下ろしてくれた。隠れていた顔は赤く染っていた。唇を噛み締めて、目は揺れ動いていて、自分自身の失態に動揺を隠せてないようだった
吉田:…すみません、困らせました、よね
佐野:ううん。俺、仁人が安心するまで、一緒にいるよ
でも、この気持ちは言わない。この関係を崩したくない。俺まで仁人を好きになったら、仁人は頼る人がいなくなってしまう。なんなら、俺の行動で、嫌だった過去を思い出すかもしれない。だから
佐野:何すれば安心する?
俺は、仁人が安心できる場所をつくるよ
吉田:手、握ってて、ほしい
佐野:うん、分かった
……くっそ辛いけどな!!本当は抱きしめたいよぉ…涙
山中:勇斗さーん、仁人さんに告白できた?
佐野:は、はぁ、?な、何言ってんの?
休憩スペースで一息ついていた時だった。いきなり声をかけられ、何事かと思ったらそんなことかよ…
山中:だって、そんな好きだだ漏れなのに、なんで言えないんすかね
塩﨑:ほんとそうっすよ!仁人を見る目だけ違ってて本当に分っかりやすいわぁ
曽野:ほんまに!見てるこっちがウズウズす
佐野:あー!黙れ黙れ!!
そして毎日のようにこのクソガキ三人衆からいじられる始末だ。まじでこいつらのタスクだけ
増やそうかな💢
佐野:だってさ、仁人の気持ちを尊重したいじゃん
俺の言葉に対して3人は驚いたような表情をして目を合わせ始めた。そしてニヤニヤしている。なんて薄気味悪い奴らなんだ
塩﨑:仁人の気持ちねぇ笑
佐野:あぁ、?なんか文句ある?
山中:なんも無いですよー
曽野:佐野さん!がんばれ…
佐野:おい、俺の肩に手置いて哀れな目で見んな。え、まじで、どういうこと?なぁ、おい!
くそ、俺のことを弄ぶだけ弄んで逃げるように去っていきやがる。何なんだよあいつら
吉田:…佐野さん
佐野:うわっ!!
振り向くとなんとも言えない顔をした仁人が立っていた
吉田:あの、今日かなり仕事残ってて、残業しないと間に合わないので先に帰ってて下さい
佐野:え、いいよ?全然残ってるよ
吉田:…大丈夫です。んじゃ
佐野:ちょっと、
俺は咄嗟に仁人の腕を掴む。なんか、ちょっとだけ、怒ってる、?
佐野:…ごめん、なんか嫌なことあった、?
吉田:え?
佐野:いや、まぁいつも素っ気ないけど、なんか別の空気を感じたというか、?
吉田:…腕離してください。何でもないです。とりあえず、今日は別々で帰りましょう
俺はスタスタ去っていく後ろ姿を呆然と眺めるしか無かった
佐野:仁人……大丈夫かな……
俺は家に帰ってからもそればかり気になっていた。シャワーを浴びてもご飯を食べてもスマホを見ても、頭の中はそればかり。本当に俺って過保護だわ。しかし俺も連日の仕事の疲れが溜まっていて、瞼がだんだん重くなっていく。次第に視界がぼやけ始め、いつの間にか目を閉じていた
ドンドンドン
佐野:?!
扉を叩く音で目が覚める。今、何時だ、?時計を見ると0時を回っていた。ぼやけた目でスマホを見ると一通の電話の履歴が残っていた。仁人からだった
ドンドン
再び扉を叩く音が聞こえる。そして、あの、男の声が聞こえた
佐野:…仁人! !!!
ぼやけていた脳みそがフル回転する。俺は壁にぶつかりながら玄関に走った。足がもつれて転びそうになるがそんなのはどうでもよかった。玄関に近づくにつれてあの男の声と仁人の苦しそうな呼吸音が大きくなる
ガチャッ
佐野:仁人っ!!!!
扉を開けた瞬間、仁人が俺の胸に飛び込んでくる。荒い呼吸。ぐしゃぐしゃの髪の毛。汗ばんだ首筋。俺の背中に回された震える手。そして、仁人の背中部分のワイシャツには、何かで破かれたような痕。隙間から見える白い肌には微かに血が滲んでいた
目の前には、仁人を追い掛け回しているおっさんが、カッターナイフを持って憎たらしそうな目でこっちを見ている
男:俺の仁人君を返せ
その瞬間、俺の中の何かが崩れた
佐野:黙れよ
俺自身でも驚くくらい低い声が静かに響き渡る。俺も大人だ。感情に振り回されてはいけないのは分かっているが、そんなの今は無理だ
佐野:仁人を心も体も、こんなに傷つけて、何が楽しい?仁人は、お前のものじゃない。仁人は、お前のことなんて、1ミリも愛してない
男:うるせぇ!!お前に興味ねぇんだよ。俺は仁人君がいればいいんだ…さぁ、お家に帰ろ?また、仁人君に愛情たくさん注いであげるからね?
おっさんは俺のことがまるで見えてないみたいに仁人の背中をずっと愛おしそうに見ていた。その様子が気持ち悪くて、不快で、ムカついて、、
佐野:…キモイんだけど
男:は?
佐野:もう、これ以上、俺の恋人に近付かないでもらえます?
男:恋人って、笑、仁人君、お前のことさん付けしてたよね?そんな堅苦しい関係性、恋人じゃないだろ。お前は仁人君の護衛にすぎないんだよ!
……俺は、おっさんの言葉なんて右から左に流して、こいつを一生仁人に近付けないためにどうすればいいか悩んでいた。実はかなり前からある策を思いついていた。きっと、このおっさんにかなりダメージを与えることが出来る。でも、仁人はまだ苦しそうに肩で呼吸をしている。こんな状態の仁人には、本当はしたくなかった。でも、
佐野:…ごめん、仁人。1回俺の方見れる、?
ゆっくり、仁人は俺のことを見てくれた。目は虚ろで、頬には涙の跡が残っている。そして、唇は微かに震えていた
佐野:苦しくないようにする
それだけ言って、俺は、今にも壊れそうな仁人が、これ以上傷付かないように、細心の注意を払いながら優しいキスをした
次回最終話です
♥300いき次第のせます
コメント
1件
うわあああ、第3話めっちゃ熱かった…!勇斗が仁人を守るために「ごめん、俺の恋人に近付かないでもらえます?」って言い切るところ、もう胸が詰まったよ。そしてキス…!「苦しくないようにする」って台詞、優しさと覚悟が両方あって、すごく好きだな。仁人が震えてるのに、それでも勇斗は細心の注意を払ってるのが伝わってくる。次回最終話かあ…♥300、頑張って応援します!早く続きが読みたいよ〜!