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wrwrd BL集

32 - 命令

♥

1,016

2024年01月17日

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この小説は一切ご本人様に関係ありません。


毒素組

















わんく












g「…命令だ、来い。」


t「…嫌デス」


g「…いい加減従ったらどうだ?トン氏。」


嫌に決まっとるやろこの甘党野郎。散々俺の事からかって楽しんでた癖に、仕舞いには命令だぁ?誰がお前なんかの命令に従うか、あどうもトントンです。え?何で反抗しとるかって?日頃の恨みに決まっとるやろ。こいつ俺の事舐めすぎやねん…いくら恋人やからって、いくら総領やからって、何でも従うと思うなよ。


g「…来い。」


t「…嫌や。」


g「…、」


…ここで嫌いって言うたらどんな反応するんやろ。いや、今は反抗してグルさんがいつ怒るかで楽しむか。流石にこいつも恋人の俺には甘いから怒鳴ったり、キレたりせん筈。てか俺いつぶりに反抗したんやろ、かれこれ数年はあんまり反抗してないな。…てか総領室結構埃溜まってんな…後で掃除せな。


t「…グルさん少しは掃除せぇや…、」


g「…あぁ、すまんな。じゃあ手伝ってくれるか?」


t「…自分の部屋くらい自分で掃除せぇや。」


俺が反抗すると同時に静まり返る総領室。右左どちらかに視線を変えても本棚に雑に入れられた仕事の書類のファイルやら謎の本やらで埋め尽くされていた。こりゃ埃も溜まるわな、蜘蛛の巣も張っとったりしてな。…それはそれで困るな…。どうせ反抗しても任されんのは俺やし、今だけ反抗させてぇや。


g「…トン氏、」


t「うるさい…、」


…あ、つい反射的に言うてもうた。あかん、怒ってまう。叱られる、怒鳴られる、捨てられる、追い出される。嫌や、嫌や嫌や…早よ謝らな。早よグルさんに謝らんと…、


t「…っ…ぁ…、」


g「…そうか、うるさいかト ン氏。」

t「ぇ……ぁ…や、…」


だらだらと流れ始める冷や汗。少し熱いような寒いような感覚が繰り返し起こる。ひゅー、ひゅー、と自分の呼吸音が大きく聞こえ始める。グルさんの低くて冷静な声もどんどんと頭に響いてくる。怖い、そんな言葉が脳内に埋め尽くされる。目の前が少し眩むように見えてきたその時、


g「トン氏…いや、トントン。少し話をしようか。」


t「は…ぇ…、」


あだ名呼びじゃない、呼び捨てに少し俺は不安を感じる。書記長の座を外されるか、それとも別れ話か、はたまたこの組織の脱退命令か。どちらにしても嫌な事は嫌だ、言葉が詰まって思うように謝罪の言葉が出ない。どんどんグルさんを怒らせてしまっては、どの道ここには居られないだろう。


g「トントン、まずはこっちに来て貰おうか。」


t「…、」


俺は言われるがままにグルさんの目の前に立つ。怖い、今の俺じゃグルさんの顔すら見れない、いや…見たくないっちゅうのが正しいのかもしれん。怒っとるんかな、笑っとるんかな、やっぱり怒っとるんかな。そんな思いがグルグルと渦を巻く。今にも吐き出してしまいそうや。


g「…トントン、何故目を合わせないんだ?」


t「…。」


g「…俺は質問しているんだ、黙ってちゃ何も分からんゾ。」


やめてくれ、今の俺に質問を投げ掛けるな。答えられへんやぞ。察せや、呼吸するのにも一苦労なんやぞ俺は。そう思っていれば俺はぐいっ、と腕を下に思い切り引っ張られ床に膝を付く。咄嗟に上を向けば口角を少し上げ、椅子に座っているグルさんと目が合う。これも意図した物なのか、俺には分からなかった。


g「…どうだ?トントン、今度からあまり俺に反抗しない方が良いんじゃないか?」


そうグルさんは笑い混じりに俺に言い放つ。またぐいっ、と力強く腕を引かれればグルさんの顔が近くなる。グルさんはゆっくりと俺の耳元に顔を寄せれば声のトーンを低くして優しく囁く。


g「…あまり辛い過去を思い出したくないだろう、トン氏。」


t「…っひ…、」


ぞわ、と全身の血の気が引くように鳥肌が立つ。それに連れて目の前がゆっくりとぼやけて行き、ぽと、と俺の手の甲に透明な液体が落ちる。俺の頬に伝る涙にグルさんは気付けばすぐに俺の頭を自分の膝に乗せて優しく頭を撫でる。大きな手のひらで俺は何度も撫でられる。


g「…すまん、そんなつもりではなかったんだ。」


t「ッう”……ぐす…ッ」


グルさんの膝は暖かく、何処か懐かしい匂いも捉えられる。何でこんな奴好きになってしまったんやろ、俺の過去のトラウマを平気で武器にして扱うし、俺の弱みを握ってここぞとばかりに刺激してくるし…でも、それがグルさんの良い所と捉えてしまう自分が居る。そんな価値観をへし折ってしまいたい、別れたい。でも、別れたくない…、結局…俺は人に操られる人生なんやろうな…。














終わり。

ほんわか系を書きたかったんですが、やはり音楽聴きながらやってしまうと重くなってしまう…。


では、次の投稿でお会いしましょう。

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コメント

27

ユーザー

え ?え ?え ?え ?一発KOなんですけど ッ … !?!? 総統の強さ(色々)がすごい ッ … 👍 ぬわぁ ~ ッ !とりあえずめっちゃ好きです ッッ !!

ユーザー

わ〜こんな所にまた神作が!(૭ ᐕ)૭

ユーザー

次の投稿も楽しみです!毒素最高!

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