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断章 ー名も無き影ー
「……やっぱ、バレるよなあ」
兵舎裏、誰も来ない喫煙所。
風に流れる煙の向こうで、男は笑った。
「だってさぁ、“あの人”優秀すぎんだもん。情報守りすぎ。俺らが動きにくくてしゃーなかった」
手元の端末には、軍のコードブロック。
隠蔽、改ざん、上書き――
全てを“鬱先生”の仕業に見せかけるように作られた罠。
「味方って、案外あっさり仲間疑うのな。びっくりした」
「……ってか、誰も気づかないほうが悪くね?」
足音が近づいてきた。
「へぇ、来たか」
振り向いた先には――
銃を構えたショッピと、無言のまま睨む鬱先生がいた。
「あーあ、バレたか。じゃ、殺される?」
そう言って笑った男の額に、
一発の銃声が響いた。
撃ったのは、ショッピだった。
「“そいつ”が仲間のフリしてた日々、俺は全部忘れんからな」
男の身体が倒れる音は、やけに軽かった。
そいつとは?
敵の事です。あいつとも言いたくないほど
軽蔑していた。
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