テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
臣桜
50,819
鷹槻れん

34,728
#恋愛
水無月 京
1,300
#オフィスラブ
草原草原

1,286
ちょっとしたショックだよね。
だってさ、小さくて可愛い子狸扱いされてたと思ったら、とんだ妖怪扱いだったわけじゃん。
浮かれてた分だけ恥ずかしさは増すじゃん。
それから自戒を込めて自らを“豆狸”と呼ぶことにしている。
可愛いよねって言葉は、“チビだよな”を言い換えたものに過ぎない。
褒められても調子に乗るな。たしかなものは、自分が身に着けたスキルだけ。
……そうやって生きてきたわけですよ、私。気が付けば、二十七歳です。
人生で一番あり得ない今の状況を素直に受け入れられるほど、のんきに生きてきてないの。
「……分かりました? 桶川さん」
「つまり、お前がアホってことだな」
「何でですかー!」
「お前に豆狸って言ったそいつに、そんな知識あるわけないだろ。お前のそれは謙遜してるんじゃなくてビビってるだけだ。大方チビで童顔なのを気にして恋愛の舞台に立つ気がないだけじゃないか。それって俺に失礼だと思わねぇの?」
雷に打たれたような衝撃とはこのことだよ。
賢い男はこれだから困る。私のコンプレックスまで言い当てやがったわ。
「で、でもっ。だっておかしいじゃないですか。桶川さんみたいなハイスペックに好かれる理由が全く分からないんですっ。桶川さんは可愛いって言ってくれたけど、私なんてただチビなだけだし。桶川さんが大きいからかわいく見えるだけでしょ」
「お前なぁ……」
呆れたような桶川さんは、大きくため息をひとつつくと、立ち上がった。
「わかった。好きにしろよ。俺、週末帰ってこないから、それまでにどうするか決めておけよ」
「へっ」
「じゃーな」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってください。もう夜」
「止めるな。引き留めたら今日、無理やりでも抱くぞ」
鋭い目でそんなこと言われたら、それ以上何も言えるはずもない。
呆れた顔をして出ていく彼の背中を見送るしかなかった。
喧嘩に発展する可能性は考えていた。これでもし別れ話に発展したら出ていかねばならないだろうという覚悟さえしていた。なのに、何で桶川さんが出て行っちゃうわけ?
これって私どうしたらいいの?
「桶川さん、どこで寝る気なんですか……!」
私のつぶやきは、誰に届くことも無く、空気に溶けていった。
コメント
1件
わあ〜〜!!!😭💖 この番外編、豆狸ちゃんの心情がリアルすぎて胸にグサグサ刺さったよ…! 自分を小さく見積もっちゃう気持ち、分かりすぎてつらい!でも桶川さんの「ビビってるだけだ」発言、マジで雷に打たれたみたいな衝撃だよね…そう来るか!って感じで痺れた〜!最終的に出て行く展開、次が気になりすぎる!!続きが待ちきれないよ!!!🌸