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第三話【反抗】※暴力表現を含みます。
目が覚めるとノクターンはいなくなっていた。
「…今だ」
起きあがろうとすると首筋が攣るように痛む。
「っう…!」
痛い、痛い…いつか聞いた声が頭の中で響いておかしくなりそうだ。
今すぐこの屋敷を出なければ。この屋敷は呪われていて、私はまだ魔女の夢の中にいるのかもしれない。
部屋を出てメイドを無視してエレベーターに乗ろうとしたが、エレベーターは止まっていた。
しかたないので階段で9階から一気に駆け降りる。
「きゃあっ!」
ヒールとドレスに慣れていなくて躓いてしまう。
「こんなもの…!」
ドレスを破こうとするとなんだか悲鳴が聞こえた気がして手を止める。
どれだけ階段を降りただろうか。やっと門が見えた。
門に手をかけたその時。
「『硬直』」
体が動かなくなる。動かそうとしても動かせない。いや、頭の中で「動くな」という声が反響する。
「逃げ出そうなどと思うな、そう言ったはずだが。」
背後にはノクターンがいた。振り向くこともできずにいると、近づいて手首の傷を鋭い爪で抉られる。
手首から血が溢れる。ノクターンが今どんな表情をしているのかはわからない。
だが、息が乱れているのが聞こえた。あのノクターンが息を乱すなんてことがあるのか。
「あの魔女は本当に…っ、は、ははっ、」
ひとりで訳のわからないことを呟いていると思えばまた手首に手を当てられる。
今度はどんな痛みが待っているのだろうか…しかし、待っていたのは痛みではなかった。
治癒だ。血が止まり、割れた皮膚が塞がる。ぼーっとして、気分が良くなってきた。
「今日からお前は俺のペット…いや、奴隷、玩具だ。」
「…は?」
「ふん、躾がいがありそうだな。」
「私は保護されにきたのであって…」
話している途中で首筋の牙の跡に爪を立てられる。
「痛いか?そうか。」
引き抜くかと思いきやさらに深く突き入れ、出したり入れたりを繰り返す。
絶対に泣いてはならない、そう感じた。きっと苦しめば苦しむほどこの男は喜ぶのだ。
なにせ、750年を拷問に費やした頭のおかしい変態なのだから。
無反応でいればそのうちつまらないと言って捨ててくれるはず…
しかし、その考えは甘かった。
泣いて苦しむ人間なら腐るほどみてきた。憎しみを抱いて耐えるものを屈服させる方がよほど面白い。そう考えていたのだ。
「いいぞ。耐えてみろ。お前が泣いて許しを乞うまで続けてやろう。」
「っ…!!」
ノクターンは帆晴が耐えきれなくなるまで続けるつもりだった。
「安心しろ。私は気が長い方だ。どこぞの悪魔と違ってな」
「悪魔…?」
「ここにいればそのうち出会うことになる。」
ノクターンは指を強く突き刺した。
「あぁ…!」
「ふっ…いいぞ。もっと聞かせろ。」
「誰がそんなこと…!ひぅっ!!」
突き刺した場所の肉を抉るように中で引っ掻く。
常人には耐え難い痛みだった。しかし、ノクターンへの恨みと、助けてと叫んで妹をこの男に合わせるわけにはいかないという思いが上回った。
「しぶといな。」
本当のところはもう限界だった。今すぐ叫びたい。家に帰りたい。涙が溢れた時、今まで耐えていたものが溢れ出した。
「やめて…」
「頼み方というものがあるだろう」
「やめて、くだ、さい。お願いします。」
恥を捨てて吐き出す。冷や汗が止まらない。これ以上耐えたら本当に気絶してしまいそうだったからだ。
これは屈服ではない。防御だ。
「いいだろう」
ノクターンは指を引き抜いて治癒を始めた。散々痛めつけられた後治癒というのはあまりにも幸せな時間だった。
麻薬のように皮膚に染み込んで脳を刺激する。
「癖になりそうか?」
「…」
沈黙が答えを表していた。
コメント
1件
読み終えました…正直、心臓が痛いです。ノクターンの執着と支配の仕方が本当にえぐくて、でも帆晴ちゃんが絶対に泣くまいと耐えてるところに胸が締めつけられました。治癒が麻薬みたいに染みる表現、すごくリアルで怖かった…この先どうなっちゃうんだろう、でも続きが気になって仕方ないです。Hohaさんの描く“支配と屈服の境界線”が本当に繊細で引き込まれました。