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「ここが俺の部屋です」
築浅でセキュリティもしっかりしていそうな洒落たマンションの3階の角部屋に案内され促されるままに入ると1L D Kの部屋は実に生活感が無かった。
二人掛けのソファにテーブルが一応リビングだから的に置かれていてその先のデスク廻りは会社のデスクをコピーしたように実に機能的でそこだけが辛うじて人が活動している様にみえる。
生活感がないと感じる一番の要因はソファの後ろには荷解きがされていない段ボールがそのまま置いてあるところかもしれない。
「なんて言うか、仕事がはかどりそうな部屋ね」
「はは、まぁね。とりあえずソファにどうそ」
賢一は明らかに機能を発揮していないであろうキッチンに向かうとアイスペールとグラス二つを右手に持ち左手にはフォアローゼスのボトルを持って戻ってきた。
「あっローゼス」
「姫のお気に入りを用意しました」
持ってきたものをテーブルに置くと、もう一度キッチンへ向かって行った。
「自炊もしないから冷蔵庫にはチーズとかナッツしか無いんだ」
「ナッツって冷蔵庫に入れておくもの?」
賢一に答えながらグラスに氷を入れてフォアローゼスのロックを作る。
「ははは、ビールと水しか入ってないからついでに入れている」
そう言って笑いながら、カマンベールチーズとナッツをガラスの容器に入れて戻ってきた。
隣り合わせでソファに座るとグラスを合わせてから一口飲み込む。
バーボンの樽の香りを堪能してから、プレゼントを渡していない事に気がついた。
「バレンタインのプレゼントを持ってきてるんだけど」
バックから取り出して先日悩みに悩んだネクタイを渡した。