しょこ〜!
合作?のとりあえず簡単なのできたからとうこうしとくね〜♪
学パロ、色分け、全員男です
しょこが変えたかったら変えていいよ!
とりあえず今回は赤組!
「ちょっとした日常」
六月の半ば、梅雨入りしてからというもの、天気予報はほとんど当てにならない。朝は晴れていたのに、昼前には曇り、午後にはザーッと降ってきた。
「うわ、傘持ってきてねぇ……」
りうらは昇降口の前で足を止めて、空を仰いだ。夕方の空はどんよりと灰色で、校舎の屋根を雨粒が叩いている。グラウンドはすっかりぬかるみ、部活の生徒たちはあきらめたように教室へ戻っていく。
「また? お前、傘持ってるとこ見たことないんだけど」
後ろから声がして振り向くと、ないくんが制服のボタンを留めながら歩いてきた。髪はいつもの無造作な感じ。りうらと同じく、傘を持っていない様子。
「お前もだろ」
「俺は天気予報見て持ってこなかっただけで、持ってないわけじゃねぇし」
「俺も家にはあるよ」
「使えよ」
ふたりはしばらく、昇降口の屋根の下で雨を見ていた。スマホで天気アプリを見ても、降水確率80%。止む気配はない。
「……帰るのめんどくさ」
「じゃあ学校泊まるか?」
「不審者になるわ」
「生徒だし。合法不審者じゃね?」
「合法ってなんだよ」
ないくんは苦笑いしながら、ポケットからイヤホンを取り出して、片耳につける。その仕草をぼんやり見ていたりうらは、ふと思いついたように言った。
「なぁ、購買でパン買ってきてさ、教室戻らね?」
「なんで」
「腹減った」
「俺は今食わなくても……」
「俺が減ってんの。お前もなんか食えよ、巻き添えだ」
「理不尽すぎるだろ」
文句を言いながらも、ないくんは財布を取り出して購買に向かった。りうらはそれを見送ってから、教室へ戻る。1年3組の教室は、放課後の湿気に包まれている。窓際の席にランドセルのような荷物が一つ。りうらのだ。
窓の外を見れば、運動場の水たまりに雨粒が丸く波紋を作っていた。傘を持っているやつはもう帰ってしまったのか、校舎は静かだ。ときどき下駄箱から誰かの笑い声が響いてくる。
数分後、ないくんがパンをふたつ持って戻ってきた。
「メロンパンしか残ってなかった」
「それでいい」
ひとつを受け取って、りうらは包みを破る。ほんのり甘い匂いが鼻をくすぐった。
「そういえばさ、進路調査出した?」
「まだ。適当に書いていいって先生言ってたじゃん」
「“適当”の意味、絶対違うだろ」
ないくんは呆れたように笑いながら、自分のメロンパンにかじりついた。甘さに目を細めるその顔が、妙に穏やかだった。
「お前、ちゃんと考えてんの?」
「一応はな。まあ、俺もそんなガチガチに決めてるわけじゃねぇけど」
「なんか、ピンとこないんだよな」
「未来の話だしな。今の時点でピンとくる方がレアだろ」
そう言いながらも、ないくんの声には芯がある。どこかでちゃんと考えている感じがした。
「まぁ、俺らまだ十七とかそこらだしな」
「おっさんくせぇな。お前の口から“まだ十七”とか出ると思わなかったわ」
「十七って、案外曖昧な歳だと思わね? 大人じゃないけど、子どもでもねぇっていうか」
「わかる気はする」
パンを食べ終わったふたりは、机に突っ伏して静かにしていた。教室の蛍光灯が静かに点滅している。外の雨音が、眠気を誘う。
「なぁ」
「ん?」
「このあと、駄菓子屋寄って帰らね?」
「雨、やまねぇぞ」
「だからちょっと雨宿りして、止んだら行こうって話」
「駄菓子屋なんて、久しぶりに聞いたわ……まだやってんの?」
「商店街のとこにあるやつ。婆ちゃんがやってるとこ」
ないくんは少し考えてから、頷いた。
「いいけど、買い食いすんなよ?」
「なんでだよ」
「この前それでお前、先生に怒られてたじゃん。俺も巻き添え食らったし」
「巻き添え言うなよ。友情だろ」
「違うわ、もはや業だわ」
そう言いながらも、ないくんは立ち上がった。りうらもそのあとに続く。いつの間にか雨が少し弱まっている。
昇降口まで行くと、まだ細かい雨は降っていたけど、さっきよりはマシだった。りうらはカバンから折りたたみ傘を取り出した。
「……お前、持ってたのかよ」
「いや、実は今日たまたま。朝、母ちゃんが突っ込んできた」
「完全に運ゲーかよ」
「お前、俺に感謝しろよ」
「俺の分は?」
「ねぇよ。帰り道ダッシュだな、ないくん」
「……チッ」
そう言いながらも、ないくんは笑っていた。
ふたりは歩き出す。ひとつの傘に無理やりふたりは入らず、ないくんは制服のジャケットを頭にかぶって走り出した。
「おい、濡れるぞ!?」
「知ってる!」
りうらは傘をたたみ、それを背中に差して、自分も走り出す。雨は冷たく、制服にしみる。でも、それがなんだか面白く感じた。
駄菓子屋の軒先に飛び込んだふたりは、ゼーゼーと息を切らしながら笑った。
「びっちょびちょじゃねーか、お前」
「お前もな」
店の奥から、おばあちゃんの声がした。
「あらあら、また来たの? 元気ねぇ、最近の子にしちゃ珍しいわ」
「今日もベビースターください!」
「俺は…うまい棒、チーズ味で」
「お小遣いで足りるの? あんたたち、ポイントカード作っとく?」
「あるんですかそれ!?」
「すげぇな……」
そんなふうにして、ふたりの放課後は続いていく。
特別じゃない。でも、なんだか妙に覚えていたくなる。
そんな、ちょっとした日常。
コメント
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ほい!続き書きます!