テラーノベル
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ようやく感動の再会が落ち着き、桜がジンを振り返った
「パパ! 紹介するわ! 私の・・・だ、旦那様の『パク・ジン』さんよ!」
桜の頬がポッと赤くなり、照れ隠しに可愛くはにかむ、ジンはすかさず深々とお辞儀をした
ペコペコ・・・ 「はじめまして・・・「パク・ジン」と申します・・・大切なお嬢さんとの突然の結婚のご報告で、ご挨拶もろくに出来ないまま・・・今日に至るまで・・ご訪問させていただくことになるなんて・・・大変申し訳なく―」
松吉と米吉が、まるで漫才コンビのように同時に目を丸くした
「おおっ! なんと、これまたデカいのぅ!」
松吉が目を皿の様に見開いて言う
「大男じゃぁ~~~! さくら、どこでこんな立派な男を捕まえたんじゃ!」
米吉も嬉しそうだ、ジンは少し気恥ずかしそうにしながらも、二人の顔は嬉しさに輝いていて、ジンを心から歓迎しているのが伝わってきた
しかしその純粋な笑顔がジンの胸に罪悪感がチクチクと刺さった・・・
この結婚は偽装だ、こんな良い人達を自分は騙している
「いやぁ~そんな堅い挨拶はいらんよ! こうしてワシらに会いに来てくれたことが大事なんじゃ!」
松吉はジンの肩をバンバンと叩き、まるで長年の友人のように振る舞う
「ワシはこの娘の父親、山田松吉だ! よろしくな!」
「ワシはこの娘の祖父、米吉じゃ! 良い男じゃな、ゴンさん!」
「ジンです・・・」
「さぁ! ここから先の峠道は、慣れたもんじゃなきゃちょいと難しいからの!」
松吉が胸を叩き、バンの運転席に飛び乗った
「ワシらが旅館まで案内するぞ! ついて来い、キンさんや!」
「ジンです・・・」
レクサスがバンの後を追い、淡路島の細い峠道を登っていく、窓の外にはキラキラと光る海と、青々とした山々が広がっていた 潮風が車内にそっと入り込み、桜の髪を揺らす
ジンはハンドルを握りながら、隣の桜をチラリと見た、彼女は鼻歌を歌いながら、窓の外の景色に目を輝かせている、先導をしているバンから米吉が手を振る
「ギンさぁ~ん! もっとスピード出してついてこい!」
ボソッ 「ジン・・・」
「もうっ・・・おじいちゃんったら・・・すいません、ちょっと認知が進んじゃって・・・うちの家族お客さんが大好きなんです、旅館をやるぐらい・・・それで私も長年帰省してなかったものですから・・・ちょっと恥ずかしいぐらい舞い上がっちゃってて・・・」
桜がキリッとしてジンに向かって言った
「あっ!あの!迷惑ならそうちゃんと言って下さいね!あなには構わない様に私の方からキツク言い聞かせて―」
「良い人達だね、僕は素直に歓迎してくれているみたいで嬉しかったよ」
フフフッとジンが笑った、心からの言葉だった、同時に心の中では偽装結婚の嘘が重くのしかかる・・・
この温かな家族を前に、どうやってこの嘘を貫き通せばいいのだろう・・・
この先に待つ「山田旅館」での試練・・・
そして、偽装結婚の真実を隠し通す難しさに、ジンの胸はざわついていた
コメント
3件
おじいちゃん&お父さん熱烈歓迎🙌 もはや名前がンしか合ってない🤣 爆笑しました🤣🤣
松米コンビ最高✨️ この喜びようが可愛い〜🤣 ジンさんもう偽装やめちゃいなよ😆
ゴンさんキンさんギンさん!名前がいっぱいあってなぁ😅お父さんもお祖父さんも素敵だわ😊