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それからの俺は、人目もはばからず翔太くんを口説き始めた。
ボディタッチを筆頭にスキンシップを増やし、翔太くんの意識の片隅に少しでも俺という存在が残るように努めた。
ーしかし。
自分で言うのもなんだけれど異様な事態であるはずなのに、メンバーはもちろん、マネージャーやスタッフさん達、果ては共演者の方々に至るまで、俺が執拗に翔太くんへと付き纏って口説いたりベタベタしたりしても、何もおかしな事などないと言わんばかりに皆が皆、素知らぬ顔をしているのである。
意味が分からず、とりあえずその辺にいた佐久間へと俺は問いかけてみる事にした。
「蓮、俺先輩ね?…で、何?翔太を口説いたりベタベタしたりしている事について、どう思うかだって?別に、どうも思わないけど」
佐久間(くん)の実にあっさりとした返答に唖然としていると、そんな俺の様子など気にもしない佐久間(くん)が「あ、でも」と付け足してきたのだが、その言葉に俺は戦慄した。
「いくらお前らのイチャつきがいつもの事とは言え、最近ちょっと食傷気味かも。まぁ、俺らメンバーの前ならともかく、他の方々のご迷惑にはならないようにしろよな」
イチャつき。いつもの事。食傷気味…
なんてことだ。
確かに特別控えていたわけではないけれど、俺の翔太くんへの好意は無意識のうちにダダ漏れだったらしく、自分でも全然知らないうちに愛を囁いたり、自分のものだと言わんばかりにマーキングさながら隙さえあればベタベタ触っているとの事であった。
だって翔太くんはいつ見ても綺麗で可愛いからその事をキチンと伝えておきたいし、手入れの行き届いた白くて滑らかな肌にはいつだって触れたくなるのだ。
仕方のない事だと思う。生理現象ってやつだ。
だがしかし、メンバーである佐久間(くん)のみならず、スタッフさん達や共演者の方々までもがそう感じていそうな所を見るに、いつも俺から愛を囁かれたり、触られたりしている張本人の翔太くんは、それこそ”いつもの事”だし、”食傷気味”なのだろう。
つまり俺からの告白に塩対応だったのも、翔太くんからしてみれば『いつもの事』だったから……?
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