ニキ視点
日も暮れて、辺りが暗くなった頃、俺達はいつものように都内の居酒屋を訪れ、飲み会をしていた。
各々が好き勝手に発言し、各々が好き勝手にツッコミを入れる。そんな感じの飲み会だ。
そこそこに時間も経ち、俺も含めた五人は程よく酔いが回り始めていた。
ボビーと18号は、いつの間にか開催されていたりぃちょの「好きとは何か」というわりかしどうでもいい議論に巻き込まれていた。
酔っているからか、いつもより饒舌に話すりぃちょに、2人はなんとなくそれっぽいことを言って適当に受け流していた。
よく見ると二人共目が死んでいる、早々に終わらせたいのだろう。
「まだ長引くなこれは」と二人に同情しつつ俺はさり気なく3人が話しているテーブルから少しばかり遠ざかった。
避難先のテーブルには一人ですやすやと寝息を立てている恋人のキャメがいた。
「キャメ〜起きて俺とイチャイチャしようよぉ」
と少し肩を揺らしても、
「うゅん…」
という寝言だけが返ってくる。とても起きそうに無い。アルコールが入るとすぐこれだ。
無理に起こすのは良くないと考えた優しい俺は、眠っているキャメをそのまま見守っておくことにした。
ちびちびと酒を飲みながら眺めるキャメは可愛かった。
普段は女研の最年長として巫山戯つつもどこか大人びた様子の彼がすやすやと子供の様に眠る姿は何処となく俺の母性(?)を燻った。
そんなキャメを眺めていた俺はあることに気が付いた。
「(キャメ、ピアス開けてないんだな)」
意外だった。
彼の立ち絵の耳にはピアスが着いていおり、実写でも私服には指輪やブレスレット、ネックレスなどの数多くのアクセサリーを合わせて着用していた。
そのため、てっきりピアスも開いてるだろうと思っていた。
「(なんで開けてないんだろう)」
ふと疑問に思った。
しかし、当の本人は寝ているため、今その答えを聞くことは不可能である。
それにしても気になる。
恋人のピアス事情という俺の中では重大なこの疑問は出来るだけ早く解決したい。
「(早く起きてよぉ)」
そう思いながら再び酒を飲む。
少し離れたところからりぃちょの恋に対する嘆きが聞こえた。
まだやってたのか。
りぃちょの議論も落ち着き、夜も深くなってきた。皆もう満足したのだろう。先程より静かになっている。
それを察知した俺とボビーは
「「そろそろお開きにするか」」
と話し、帰りの準備をして、会計を済ませ店の外へ出た。
ボビーと18号はりぃちょを、俺は依然として眠ったままのキャメをそれぞれ送って行くことになった。
18には送り狼にならないようにと釘を刺されたが、キャメ次第である。
「「「じゃあまた」」」
そう言って別れ、俺はキャメに肩を貸して歩き始めた。