外は木枯らしが吹き枯葉が風に舞って踊っている。店の中には湊と明日香の姿だけがあった。
「アキラさん…」
携帯をいじりながら明日香が湊を呼ぶ。
「ん〜?」
読んでいる雑誌から目を離さず湊が返事をした。
「昨日、シンとヤった…?」
「えっ……」
唐突な質問に雑誌を落としそうになる。
明日香を見ると湊を見てニヤッと笑みを浮かべている。
「急に何言ってんだよっ」
落としかけた雑誌を閉じる。
「別に一緒に住んでるんだし恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?」
「………してない」
「本当に?」
「しつけぇなっ。昨日はしてねぇ」
「ふーん……昨日は。ね〜」
明日香が意地悪く笑った。
しまった……。
湊はバツが悪そうな顔をしていると
「湊さんっ」
ガラッとドアが開きシンが現れる。
「シンっ」
「俺がバイト中に英と2人きりで何やってるんですかっ?」
「シン…言っとくけど俺も仕事中だ…」
怒るシンをなだめるようにおだやか言った。
「よっ。シンちゃんおかえり〜」
明日香がシンに向かって手を振る。
「何がおかえりだっ!ここはお前の家じゃないだろっ。湊さん困ってるんだからさっさと自分ん家帰れっ」
「ただいま。位言ってくれても…」
「誰がお前になんか言うかっ」
「アキラさんはシンより俺と話してた方が楽しいってさ。ねぇ〜アキラさん?」
「はぁぁあ?湊さんは俺と話してた方が楽しいに決まってるだろっ!ですよね、湊さん?」
黙って聞いていた湊が立ち上がり
「うるせぇ…っうーかめんどくせぇ。お前ら2人まとめてめんどくせぇっ!」
2人を交互に指を差しながら言った。
「シンがくだらない事言うから…」
「英が変な事言うから…」
「だっぁぁっ!本当めんどくせぇっ!」
「はいはい。邪魔者は帰りますよ」
立ち上がる明日香に向かって、
「そういや、柊さんが帰りにお前の家に寄るって言ってたぞ」
「はあ?なんでそれを早く言わないかなっ!!」
もうっ!と、怒りながら明日香が店を出て行った。
シンは湊の横に椅子を置くと座った。
「湊さん…」
「ん?」
「そろそろ……寝室一緒に……」
「しませんっ!」
「なんでですかっ?最近は一緒に寝てるんだしもう一緒の部屋にしてもいいじゃないですか!」
「最近って、昨日と一昨日だけだろっ!一昨日は…お前が…」
だんだん声がフェイドアウトしていく。
「昨日は、湊さんから誘ってきましたよね?」
「誘った覚えはねぇんだけどな…」
「誘ったじゃないですか?」
「誘ってねぇってっ。俺は、寒くなってきたから『今夜は冷えるな…』そう言っただけだっ!なのに…お前は俺の腕掴んで部屋まで連れて行くから…」
「あれはお誘いじゃないんですか?」
「あれのどこをどう聞き間違えたら、お誘いになんだよっ!」
「俺はてっきり、冷えるから一緒に寝てくれって言われたのかと」
「俺は、冷えるから暖かくして寝ろよ。って言おうとしたんだっ!」
「結局一緒に寝たんだからいいじゃないですか」
「よくねぇよっ!」
「でも、暖かかったでしょ?」
「……まぁ……」
「だったらこれからは毎晩一緒に…」
「そう…だな……シン…」
「はいっ!」
「帰りに買い物行くぞ…」
「何を買いに行くんですか?」
「これからの為に…」
「これからの…為に…?」
「一緒の……」
「一緒の……?」
「湯たんぽ買いに行くぞ!」
「へ……」
「なに期待してんだっ。ばーかっ!」
「湊さんっ!湯たんぽなんかいりませんっ!!」
「湯たんぽ。はいいぞ〜」
「俺が湊さんの、湯たんぽ。になりますっ!」
「そんなでかい、湯たんぽ。なんかいらねぇってっ!」
「全身暖まりますよ」
「つべこべ言ってねぇで、湯たんぽ。買いに行くぞっ!」
「湯たんぽ。なんか、いりませんからっ!」
「うるせぇっ!じゃ、お前のは無しなっ!」
「湊さんっ!待ってくださいっ!!」
「置いてくぞ〜」
「湊さんっ!!」
「やっぱり、湯たんぽ。は、いいなぁ〜」
「……」
「なにふてくされてんだ?」
「俺が湊さんを温めたかった…」
「……ばーか…。寒くてどうしようもない時はお前に頼むから……」
「……はい。待ってます」
【あとがき】
しんみな なら、スラスラ書けるんだよな……。
やっぱり、しんみな はいいなぁ。と、改めて実感してしまう。笑
本格的に寒くなってきましたね。
暖かくしてお過ごしください。
月乃水萌
コメント
8件
今回も最高ですね♡♡ キュンキュンしました(*^^*) また楽しみに待ってますね✨
初コメ失礼します!! 最近主さんの物語ハマってますほんと最高っす🫶🏻🫶🏻