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第10話:壊れる前に、もっと
先輩がオレの体をじっくりと探るように触れてくる。
その手のひらがオレの体を支配する度に、深く深くその中に飲み込まれていく。
「葵、お前、俺がいないとダメだろ?」
優しさと、冷たさが入り混じった声で言われると、何も言えなくなった。
「言葉に出せよ、欲しいって」
その言葉が耳元でささやかれると、オレの意識はどんどんかき乱されていく。
「……欲しい」
その一言だけで、先輩は満足したように微笑んだ。
でも、その笑顔の裏には、もっと深くオレを壊そうとする気持ちが隠れている。
「俺がいないと、生きていけなくなるって思わせてやる」
その言葉を聞いた瞬間、オレの心が重くなった。
嬉しいはずなのに、なんだか胸が痛くなる。
でもその痛みが、オレをもっと深く求めさせていくんだ。
「先輩、でも……」
「でも?」
先輩の手がオレの胸に触れると、オレの言葉が途切れる。
その冷たさと温かさが入り混じる手が、オレの中にどんどん入ってきて、
オレは思わず声を漏らしてしまった。
「……やだ、先輩、そこは……!」
「そこが一番、お前が感じるとこだろ?」
そう言われて、また声が出た。
オレは気づけば、先輩に完全に支配されていた。
拒んでも、逃げられない。
「お前が欲しいって言ったのは、お前だろ?」
その言葉に、オレはまた頷くしかなかった。
完全に、先輩の言いなりになっていた。