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39
牙央
放課後の教室
誰もいなくなった窓際で、結衣は机に突っ伏していた
「ねえねえねえ、今日一緒に帰れる!?」
元気いっぱいの声と同時に、後ろから抱きつかれる。
「……暑い」
「えー、冷たい〜〜」
しゅんと耳が垂れた犬みたいな顔をする真緒に結衣はため息をついた
真緒はいつもこうだ
朝も
「おはよ!」
って抱きついてくるし休み時間も隣に来るし帰り道も手を繋ぎたがる
大型犬
「結衣〜今日さ新作のクレープ食べたい!」
「太るよ」
「え!? じゃあ半分こ!」
「…別にいいけど……」
「やったぁ!」
ぱあっと笑う真緒を見て結衣はそっと視線を逸らした
かわいい
でも言わない
恥ずかしいから
「結衣ってさーたまに優しいよね」
「たまにって何」
「基本ツンツンだから」
「……真緒がうるさいだけ」
「でも嫌なら離れるでしょ?」
「……………」
図星だった
嫌ならとっくに振り払ってる
真緒が自分以外と仲良くしてるとちょっとだけイライラする
この前だってクラスの子に
「真緒って距離近いよねー」
って言われてるのを見て、無性にムカついた
別に真緒は自分の物じゃないのに
「結衣?」
「……何」
「顔赤いよ」ニヤニヤ
「赤くないし…//」
「赤いって〜!」
真緒が覗き込んでくる
あいからわず距離感がバグってる
結衣は真緒の頬をぐいっと押した
「近いってば///」
「えへへ」
「なんで嬉しそうなの」
「だって触ってくれた」
ほんと犬
結衣は呆れながら鞄を持って立ち上がる
すると真緒がぴたりと袖を掴んだ
「……ねえ結衣」
「なに」
「私ばっか好きみたいでちょっと不安」
珍しく静かな声だった
「私達ほんとに付き合ってる意味ある?」
泣きそうな目で言ってくる
尻尾と犬耳も見えてきた
「……」
結衣は数秒黙ってから観念したように
「す、好きだよ////」
言った瞬間、顔が熱くなる
もう無理
帰りたい
だが次の瞬間
「うわぁぁぁぁ!? 結衣がデレたぁぁ!!」
「うるさい///」
ぎゅううううう、と勢いよく抱きつかれる
「好き!! 私も大好き!!」
「知ってる///」
「えへへ〜」
尻尾が見えそうなくらいご機嫌な真緒に結衣は顔を隠した
……やっぱり犬だ
でも……………
そんな真緒が好きなのは、たぶんもう隠せなかった
次の話…………20♡
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