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(レオン様が私を好きになること自体がゲームとは違う展開なのに……なのに、ガチ恋してる推しにこんな情熱的に詰め寄られたら……心臓がもたないっての……っ!)
私のあまりの混乱ぶりを見透かすようにレオン様の目が妖しく細まり
「可愛らしい」と言わんばかりにふわりと微笑んだ。
その表情には、獲物を追い詰め
喉笛を噛み切る寸前の捕食者のような鋭さと
それでもなお狂気的なほど愛情深い何かが混在している。
「ああ……本当に綺麗ですね、メリッサ様。どんな宝石よりも、王冠の輝きよりも美しい……。僕だけの王女様だ」
次の瞬間、彼の手が私の髪を梳くようにして後頭部へ回され、逃げ場を完全に奪われた状態で───
深く、深く口づけられた。
柔らかい唇が私のそれを包み込むように覆い被さり、次第に、奪い去るような激しさを増していく。
「んっ……ふ、ぁ……そ、そんなとこ……っ!」
鼻を突く薔薇の香りと、彼の石鹸のような香りが混ざり合い、脳が麻痺していく。
息苦しさと共に体の芯から湧き上がる甘い痺れ。
舌同士が絡み合い、唾液が交わっていく感覚。
それは、前世の乙女ゲームのCGを遥かに凌駕する、暴力的なまでの背徳感に満ちていた。
頭では理性が「このままじゃダメ」と警鐘を鳴らしているのに
裏腹に身体は彼の熱に溶かされ、正直に反応してしまう。
そして、私の微かな反応を敏感に察知したレオン様もまた、容赦なく攻め立ててくる。
「逃げたいなら、今ここで僕を突き放して逃げてもいいですよ? ただし───」
一旦唇を離したレオン様が、銀色の糸を引きながら、妖艶で残酷な笑みを浮かべて告げた。
「──次は、もっと強く抱き締めて、二度と逃げれないようにしますけど」
「ッ……!」
その言葉通り、再び唇を重ねられると同時に
骨が鳴るのではないかと思うほど強く抱きしめられた。
まるで、私の存在を自分の体の中に溶かし込み、決して離さないと誓うように……。
「も、もう分かった、降参よ! 私もっ、す、すす……好きだから……っ!! もう逃げない、逃げないから……許して……!」
私が息も絶え絶えになりながら、涙目で懇願すると
レオン様はようやく満足したのか、少しだけ体の力を緩めてくれた。
しかし依然として、彼の腕という鉄壁の拘束からは一ミリも抜け出せる気配はない。
「ふふ、良かった。やっぱり貴女は僕の腕の中が一番似合いますね、メリッサ様」
満足そうに微笑む、世界で一番大好きな推し。
その笑顔が、そして向けられる愛の重さがあまりにも眩しくて
恐ろしくて、私は直視することができない。
顔が火を噴きそうなほど熱い。
「続きは……メリッサ様のお部屋で、じっくりと致しましょうか」
「ええ!? い、いえ結構ですっ!! ここで終わりでいいですっ!!」
「遠慮しないで下さい。もう、貴女を離す理由がなくなってしまいましたから。さぁ、参りましょうか」
「待って!本当に!まだ心の準備が、1ミリもできてないんだけど!!」
必死の抗議も虚しく、私はレオン様の強靭な腕の中で、軽々と宙に浮かされる羽目になってしまった。
お姫様抱っこで運ばれる私を、レオン様は愛おしそうに見つめている。
私の「処刑フラグ」が折れたのはいいものの
彼自身の手によって
別の意味で全く別のルートへと完璧に書き換えられてしまったのであった。
(どうしてこうなるのよぉぉぉぉ!)