テラーノベル
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夜明け前の空は、まだ群青色に染まっていた。
組織の敷地裏にある訓練場では、金属がぶつかる乾いた音だけが静かに響いている。
カンッ。
カンッ。
木刀を打ち合わせる音。
ふうはやとりもこんは、向かい合って訓練をしていた。
fu「右。」
短い声。
りもこんは反射的に身体をひねる。
木刀が頬をかすめた。
rm「うわっ!」
fu「まだ遅い。」
rm「はいっ!」
息を整える間もなく、次の一撃。
りもこんは受け止める。
腕に重い衝撃が伝わった。
fu「力むな。相手を押し返そうとするな。」
fu「受け流せ。」
rm「……はい!」
最初の頃なら、一方的に押し込まれて終わっていた。
それでも今は違う。
少しずつ。
本当に少しずつ。
ふうはやの動きが見えるようになってきていた。
その瞬間。
りもこんが木刀を半歩引く。
ふうはやの懐へ踏み込む。
カッ――!
木刀の先が、ふうはやの肩へ触れた。
静寂。
りもこんが目を丸くする。
rm「……え?」
自分でも信じられなかった。
初めて。
初めて一本取った。
ふうはやは肩へ触れた木刀を見つめる。
そして、小さく口元を緩めた。
fu「成長したな。」
その一言だけだった。
けれど、りもこんにとっては何より嬉しい言葉だった。
rm「……ありがとうございます!」
思わず笑顔がこぼれる。
ふうはやは木刀を肩へ担ぎながら歩き出す。
fu「だが、本番はもっと速い。」
rm「はい!」
fu「明日もやる。」
rm「もちろんです!」
その返事に、ふうはやは小さく笑った。
本当に、小さく。
⸻
その日の午後。
二人は街へ物資の受け取りに出ていた。
任務というほどではない。
珍しく穏やかな一日。
rm「今日は平和ですね。」
りもこんが空を見上げる。
fu「……そうだな。」
ふうはやも珍しく同意した。
その時。
少年「ママぁ……。」
小さな泣き声。
二人が振り向くと、五歳くらいの男の子が一人、交差点の隅で泣いていた。
辺りを見回しても親の姿はない。
りもこんはしゃがみ込む。
rm「どうした?お母さんとはぐれたの?」
男の子は泣きながらうなずく。
rm「名前は?」
ゆう「ゆう……。」
rm「大丈夫。」
りもこんは優しく笑う。
rm「一緒に探そう。」
その様子を少し離れた場所から、ふうはやは黙って見ていた。
男の子はりもこんの手をぎゅっと握る。
その小さな手を見た瞬間――
ふうはやの視界が揺れた。
小さな手。
泣き声。
煙。
赤い炎。
『兄ちゃん……!』
幼い声が耳の奥で響く。
伸ばした手。
届かなかった。
fu「……っ!」
ふうはやは思わず額を押さえる。
rm「ふうはやさん?」
りもこんが振り返る。
rm「顔色悪いですよ!」
fu「……何でもない。」
短く答える。
だが、その声はいつもよりかすれていた。
りもこんは男の子を交番へ送り届けると、急いでふうはやの元へ戻る。
rm「本当に大丈夫ですか?」
fu「平気だ。」
rm「平気じゃない顔してます。」
少し強い口調だった。
ふうはやは驚いたように目を見開く。
りもこんは一歩近づく。
rm「無理してる時くらい、頼ってください。」
fu「……。」
rm「俺、相棒なんですから。」
その言葉に、ふうはやは返事ができなかった。
胸の奥が熱くなる。
こんな感覚は、いつ以来だろう。
いや。
もしかしたら――
初めてなのかもしれない。
ふうはやはゆっくりとうなずいた。
fu「……少しだけ。休んでもいいか。」
りもこんの表情がぱっと明るくなる。
rm「もちろんです!近くに公園ありますよ!」
二人は並んで歩き出す。
歩幅は違う。
歩く速さも違う。
それでも、どちらも相手に合わせるように歩いていた。
⸻
洋館へ戻る頃には、空は夕焼け色に染まっていた。
二人が並んで玄関をくぐる姿を、ボスは二階の窓から静かに見下ろしていた。
bs「相棒、か。」
穏やかな笑みを浮かべる。
bs「いい言葉だ。」
そうつぶやくと、机の引き出しから古い懐中時計を取り出した。
蓋を開く。
中には、一枚の写真。
まだ幼いふうはやが、誰かと笑っている写真だった。
ボスはその写真をしばらく見つめる。
やがて静かに蓋を閉じた。
bs「……もう少しだ。」
その声は優しかった。
けれど、その優しさの奥には、決して揺らぐことのない冷たい意志が隠れていた。
ハム✨投稿2ヶ月1ヶ月ツンデレ
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#夏コラボスペシャル
らい🎀
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コメント
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わあ…第17話、すごくよかったです。 りもこんが初めてふうはやから一本取ったシーン、じんわり来ました。成長する姿って、見てる側も嬉しくなりますよね。 それに、迷子の少年を見たふうはやのフラッシュバック…「届かなかった」っていう過去の重さがひしひし伝わってきて、胸が締め付けられました。でも、そんな彼に「相棒なんだから」って言えたりもこんの強さが、すごく温かい。 夕焼けの中を歩幅を合わせて帰る二人の距離感が、すごく好きです。ボスの最後の言葉も含めて、今後の展開が気になる…🌙 素敵な作品をありがとうございます。