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エネアが温泉だらけのダンジョン二層をさらに進むと、温泉の一つがいつもとは異なる不穏な気配を放っていることに気がついた。湯気がやけに濃く、温泉の表面が奇妙にざわついていた。彼女が近づいて確認すると、そこには無数のアメンボのような魔物が泳ぎ回っていた。だが、これらの魔物はただのアメンボではなかった。体は黒く、脚先には毒々しい紫の光がかすかに漂っている。


「…毒持ち、か」


エネアは鋭く目を細め、アメンボ型の魔物たちを観察した。通常のアメンボに似ているが、その体は大きく、脚は長く、明らかに危険な雰囲気を醸し出している。何かが起こる前に、彼女は行動を起こさなければならなかった。


「どうやら、この層はどんどんトリッキーな魔物が出てくるみたいだね。でも…」


エネアは一歩前に進んだ。瞬間、温泉の表面が激しく揺れ、アメンボたちが一斉に彼女に向かって滑るように移動し始めた。脚先の毒がきらりと光り、水面を高速で駆ける音が耳に響く。


「うわ、速い!」


エネアは一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻す。アメンボたちは一匹ではなく、群れをなして襲いかかってくる。まるで毒の嵐が彼女に向かって飛んでくるかのようだった。しかし、彼女には毒耐性の付与がある。毒に触れてもその効果は彼女には軽減される。だが、どれだけ攻撃を防げるとはいえ、この数のアメンボを一気に相手にするのは厄介だ。


「…くぅっ!少し戦略が必要かな?」


エネアは冷静に次の一手を考えた。そして、突進してくるアメンボの群れに向かって、一気に前へ飛び出した。敵が密集している場所を狙い、素早く短剣を振り抜く。瞬時に数匹のアメンボが倒れ、毒の液体をまき散らしながら水面に沈んでいった。


しかし、まだ残りのアメンボたちはエネアを取り囲んでいた。毒を帯びた脚がすぐそばをかすめ、まるで彼女を圧倒しようとするかのように動き続ける。エネアはその毒の攻撃を剣で全て防ぎつつ、次の攻撃のタイミングを見計らった。


「今度は、こちらからまとめて…!」


エネアは身を低くして一瞬の隙を見つけ、再び群れの中心に飛び込んだ。彼女の素早い動きに反応しきれなかったアメンボたちは、次々に切り裂かれ、次の瞬間には静かに水面に沈んでいった。


「ふぅ、これで少しは減ったかな?」


彼女が周囲を見渡すと、まだ数匹のアメンボが残っていたが、先ほどのような勢いはもうない。残ったアメンボは警戒しているのか、エネアの動きを見守っているようだった。


「でも、これで終わらせるよ」


エネアは最後のアメンボたちに向かって、正確に短剣を振り下ろした。刃はするりと魔物たちの体を貫き、彼らは毒を吐き出すことなく、その場に崩れ落ちていった。


すべてのアメンボを倒し終えたエネアは、一息ついた。毒の魔物たちは彼女には効果がなかったが、それでもその数や素早さは脅威だった。


「やっぱり、このダンジョン、普通じゃないね。毒持ちなんて、ちょっと厄介だったけど…まぁ、無事クリア!」


エネアは疲れた表情を浮かべながらも、次のエリアに向かって歩みを進めた。温泉の湯気が再び立ち上り、彼女の行く手を静かに覆っていた。

「毒耐性無かったら、どうなってたのかな…」

エネアは軽く痺れる体と、酷い火傷のような腕の傷を見ながら、少し体が強張ってしまった。

しかしまずはここから離れないとアメンボに出会ってしまうだろう。

「休憩は、後でだね!」

一度、戻ろうかと思ったが、戻っても自分の見た目と、過去(転生する前のエネア)の行いにより怯えた目か、冷めた目で見られるだろう。

帰る場所なんて無いのだ。

それに、ダンジョンには垢抜けの材料と進む達成感、温泉もあるのだ。

「…こんな事考えてる私が一番見た目を差別しちゃってるんだよね。自分に自信が無いからって、周りをそうだと決め付けてちゃ駄目だ!」

頬を叩き、違う事を考える。

人と魔物が混ざっていた人達も私を助けてくれていた。その人達も私を助けるか迷っただろう。次に会えたら、お礼を言いたいな。

そう考えながらボス部屋の前まで行き怪我を魅了無効の指輪の効果で回復魔法を使う。

「…なんか、痺れが効いてきてる…。早く回復してボスを…。 」

エネアは逃げ切ったことによる安心感と毒による痺れと眠気により、眠りについてしまった。



「2層のセイレーンは喉を回復させて美しい歌声や、華麗な声を出せるようになるレアドロップがあるらしいよ!」

「!狩るしかない。絶対狩ろう。」

え。絶対狩ろう。何度でも狩ろう。


「…こんな場所で寝るのは無防備過ぎないか?」

画像 「し、仕方ないと思うよ…。この毒結構強いから毒耐性かけてもこのくらいなの奇跡だからね。」

画像

一層からエネアを観察していた二人は、怯えられないようにエネアが眠ってから現れたようだった。

「い、一応僕が解毒魔法と回復魔法かけておくから…僕のこと守っといてよ?」

「ああ…。魔物達だろ?それくらい余裕だ。」

アメンボのような魔物と、大きなピラニアのような魔物達を双剣を振り回しながら、強気そうな男が倒していく。軽やかに魔物を倒しながらも、警戒を怠らない。

それ程危険な相手なのだ。

「…」

長い髪の弱気そうな男も先程と変わり真剣な表情で魔法を使っていく。

痛々しかったその腕をすぐに治し、エネアの毒を素早く解毒しながらも、強気そうな男が倒し損ねた魔物を魔法で、水を動かし貫いた。

「…ちょっと、倒し損ねてるよ?」

拗ねたように弱きそうな男が言うと、

「すまん。やりきれなかった分は頼む。 」

弱きそうな男は拗ねたまま、植物の蔓の様な物を出して強気そうな男のサポートをする。

「こ、これ疲れるから、出来るだけ早く倒してね?ここ、僕得意じゃないからー。」

「はいはい。」

主人公達を虐殺し小説をバッドエンドにした最悪不気味女に転生したので垢抜けとレベリングを頑張ります!

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