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pixivの晴学の日なるものの日に投稿しようとして当たり前かのように遅刻した産物。本当は毎月17日でした。
いや、気付いたのが9時半だったんですよ午後の。一週間までは誤差ですから大丈夫、、、な筈
・晴学
この島の気温は夏の猛暑を忘れたかのように肌寒い気温に移り変わってゆく。
12月ということもあってか、街の店に並ぶ商品はクリスマスに関連したものが殆どだ。少し歩けばイルミネーションが施された店内が見える。
そんな百鬼学園島を散歩しながら、この島を治める道満はお爺さんが孫に向けるような眼差しで見ていた。
***
冬休み前の季節である今は期末テストやらの制作に追われて忙しい時期でもある。
そのような時期であることに加え、最近は三馬鹿が普段以上に備品を壊しまくり、財布の中身は言わずもがなスッカスカだ。
『あんの三馬鹿また備品壊したのかよ、、、!』
そう呟きながら道満は学園長室のテーブルに並べられた請求書と睨めっこしていた。
道満が学園長室に篭って数時間後、こんこん、と扉がノックされた。
『あぁ、どうぞ。』
道満は流れるように来客を通した。
途端、元気で明るい声が学園長室に響く。
『道満さん!今年のクリスマス、僕とお出かけしませんか、?』
その声の持ち主は恋人の晴明であった。
付き合って伍ヶ月の二人はラブラブだ。
今は業務中だろうと思いながらも道満は返事をすべく手帳を開いて予定を確認する。
幸いその日は丸一日業務がなかった為、晴明に
『大丈夫ですよ』
と返した。
すると成人男性とは思えないような高く明るい声で『ありがとうございます!』と返ってくる。この男は本当に成人男性なのだろうか。
***
遂に待ちに待ったクリスマス当日。
晴明はこの日の為にいい所のレストランを予約し、プレゼントを選び、凜太郎にスーツを選んでもらった。
早めに待ち合わせ場所に着き、道満を待つ。因みに予定時間まであと30分はある。
そわそわとしながら道満を待っていると、予定時間の15分前に道満が来た。
待たせなくてよかったと思っている晴明とは裏腹に、道満は自分より早く晴明が到着していたことに驚いていた。
『す、すみません 待たせてしまって、、、』
驚いた為かはよくわからないが謝罪をする道満に、晴明は大困惑してあわあわとしだす。
『ぜ、全然待ってないです!大丈夫です!僕も少し前に着きました!』
明らかに道満よりも早く来ていることが分かる言い訳に申し訳ないと思いながら、道満は
『、、、ありがとうございます』
と溢した。
***
暫く二人で街を歩いていると、なんだか晴明の手がそわそわとしていることに気付いた。
道満の手の方に伸ばそうとして、また引っ込められる。
その動作に手を繋ぎたいのだと道満は気付き、そっと手を取る。
驚いたのか、晴明が『ピャッ』と声を上げた。だが、すぐに愛おしいものを見る目で繋いだ手を見つめ始めた。
『、、、初デートの日に初手繋ぎもできるなんて思ってなかったです』
そう溢す晴明はとても嬉しそうだ。
『確かに、そうですね』
普段よりぎこちない会話をしながらも、二人は初デートを楽しむのだった。
***
レストランの予約時間、晴明は受付の者に『予約していた安倍です!』と元気に話す。
一瞬本当に予約ができていたか不安になったが、受付の者が『お席はあちらでございます』と案内したので、不安は消えた。
***
道満はメニューに目を通し始める。
とんでもなく高い、、、程ではないがそこは流石いいレストランだ、普通のファミレス等より断然高い。
だが晴明がいつも(最近はそれ以上に)備品を壊しに壊しまくった為財布が心配な道満に、晴明が
『大丈夫です!僕が全部払うので!』
と誇らしげに言ってきた為、遠慮がちになりながらも選んだ。
***
『美味しかったー!』
と言っている晴明の隣には、結構お腹がいっぱいな道満がいた。
普段の道満ならばここで妖術を使い帰るのだが、デート中ということで使わずに頑張って歩いている。
そんな道満を見て(かわいいなぁ)と思っている晴明はいつにも増してにっこにこだ。
***
今現在の時刻は午後捌時の為、暗い夜景に映えるイルミネーションが夕暮れ時よりも綺麗に見える。
二人はイルミネーションが施された木々を進んで行く。
木々は紅や蒼、翠に紫といった色の光で輝いている。
そんなイルミネーションに見惚れた晴明が
『綺麗、、、』
と溢すと、道満も
『本当に貴方のように輝いていますね』
と返して晴明が黄色い悲鳴をあげた。
***
そうこうしている間に時刻は既に午後捌時肆拾伍分を上回っていた。
最後に、と待ち合わせをした場所に行き、時計の下で向かい合う。
今度は晴明から道満の手を握る。
『きょ、今日は本当にありがとうございました!一緒に歩いたのも、一緒にご飯を食べたのも、一緒にイルミネーションを見たのも、全部が楽しかったし夢のようでした。今日は、本当にありがとうございました!!!!!』
晴明らしい明るく大きい声に道満はクスッと笑い、
『私も、本当に夢のような時間を過ごさせていただきました。今日は本当にありがとうございました。』
と道満が返した。
すると、『あ、そうだ!』と言って晴明はごそごそと何かを探し始めた。
暫くして、『あの、!』という声とともに道満の瞳に映っていたのは小さな箱だった。
『これ、!あの、指輪です!ど、道満さんに似合うと思って買いました!良ければ受け取ってください、!ってあ、重かったですかね、、、』
そう言ってしゅん、、、とするが、道満が
『ありがとうございます。とても嬉しいです』
と言って指輪を受け取ってくれたので晴明は泣きそうになりながら帰った。
***
次の日、道満の左手薬指には指輪が嵌められていたとか。