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第19章:空より来たる黒き使徒
朝焼けが差し込む湖畔。
平穏な時間は、突然の“異音”によって破られた。
空に――黒い裂け目が生まれていた。
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【1. 落ちる影】
その裂け目から降ってきたのは、巨大な何か。
金属のような甲殻、無機質な仮面。人の姿を模しながらも、“感情”を一切感じさせない存在。
セレナ「……来たわ。ルシフェルの尖兵、《ヴァイラ機構》の一体よ」
ゲズ「名前を知ってんのか?」
セレナ「伝承で聞いたことがあるの。“死の天使”って呼ばれていた……」
敵の名は――イグナ=レクトル。
空間跳躍と超重力を操る尖兵型。人間の言葉を話すことはなく、ただ殺戮命令のみを実行する。
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【2. 戦闘開始】
ゲズが雷の鎖剣を抜いた瞬間、
イグナの身体が霧のように分解し、瞬時にゲズの背後を取る。
ゲズ「っの……速ぇ!!」
剣を交えるたび、重力が歪み、地面が砕ける。
一撃ごとに空間そのものが崩壊していくかのような戦闘。
セレナ「“聖域紋章・第四式”――結界展開!」
セレナの光の結界が張られることで、ようやく重力の干渉が軽減される。
ゲズ「助かる……! 行くぞ、全開だ!」
雷の力が解放され、ゲズの剣が青白く輝く。
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【3. 追い詰められる】
だが――イグナはそれすらも上回る。
一瞬でゲズの懐に入り込み、拳で腹を打ち抜く。
ゲズ「ぐ……ぅあ!!」
ゲズが吹き飛び、地面に叩きつけられる。
セレナがすぐに駆け寄ろうとするが、イグナがその進路に現れる。
セレナ「……どきなさい……!」
彼女の結界が再び展開され、輝きが爆発する。
しかし、イグナは傷一つ負わない。
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【4. 力の暴走、そして抑止】
ゲズがゆっくりと立ち上がる。
その目は金色に輝き、身体の周囲に雷が暴走する。
ゲズ「もう……誰も……傷つけさせねぇッ!!」
暴走状態。
その雷は、イグナの重力を無視して貫通する。
剣が閃き、イグナの片腕を切断。
だが、同時にゲズの意識が崩れはじめる。
セレナ「ダメ……また、この力……!」
彼女はゲズの手に触れ、光の封印術式を展開。
セレナ「お願い、戻って……! あなたが、あなたでいられるように……!」
光が雷を包み込み、暴走を静かに収めていく。
ゲズは膝をつき、荒く息を吐きながら、セレナの手を見つめる。
ゲズ「……セレナ……俺……また……」
セレナ「大丈夫。何度でも、あなたを引き戻す。
だって、私はあなたの“帰る場所”になりたいんだから」
その瞬間、イグナの身体が音もなく崩れ、空へと消えていった。
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【5. そして“観測者”の影】
誰も気づかなかった。
遥か上空、空間の隙間から、美しい顔立ちの女性がその戦いを見つめていたことに。
その背に、巨大な黒い翼。
その目に、感情の一切を宿さぬ銀の光。
「ふふ……。成長してきたわね、ゲズ。
だけど……“希望”は、まだ届かない」
その名は――ルシフェル。