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その後、落ちていった夢の世界で、私はルイさんと再会しました。
不思議と、私の夢の中では透明ではなく、ちゃんと肉体として存在していました。
「シャルロット」
「ルイさん……!?」
ルイさんは、とても綺麗な顔で、私に微笑んでくれました。
「気分はどうだ?」
「とても素晴らしいです。これも、ルイさんのおかげです」
「そうか。それは良かった」
ルイさんはそう言うと、私のお腹を指差して言いました。
「確かに、其方の願いは叶えてやったぞ」
「えっ……!?」
私は急いでお腹を見ました。
うっすらと、光り輝いているように見えました。
「本当に……赤ちゃんが……宿ったのですか?」
「約束だからな」
「あ、ありがとうございます、ルイさん……!ああ……早くオリバーに伝えたいわ」
「……シャルロット」
「はい」
ルイさんは私の方に近づき、そっとお腹を撫でながら言いました。
「対価は……確かに貰った。甘美なるものを」
そう言うと、ルイさんはすっと、私の夢の中から消えていきました。
「ルイさん……!ルイさん……!?」
私は気がつけば、オリバーと愛し合ったベッドの上におりました。
太陽は、まもなく沈もうとしているのが、窓の外から見える空から分かりました。
「私……どれくらい眠っていたのかしら……」
ぼんやりと、夢から覚めたばかりの頭で考えておりましたが、ふと思い出しました。
「そうだ……私……オリバーに言わなきゃ……!」
私に、赤ちゃんを産むためだけでなく、愛するオリバーと結ばれるための体を授けてくれたルイさんのこと。
それから、ルイさんから、私の体に赤ちゃんが来てくれたこと。
「オリバー……聞いて!あのね…………」
オリバーは、確かに私のすぐ側におりました。
だけど、何かがおかしいのです。
いつもなら聞こえるはずの、微かな息遣いが、全くしないのです。
「オリバー?どうしたの……?」
私は、彼の手を握って初めて異変に気づきました。
「オリバー……?オリバー……!?」
私は、急いで体を揺さぶりました。
「オリバー!目を開けて!オリバー!オリバー!!!」
何度も、大声で呼びかけました。
頬を強く叩きました。
それでも、オリバーは決して目を開けてくれません。
私は、恐る恐る、彼の左胸に耳をあててみました。
何も……聞こえませんでした。
私はこの時、ようやくルイさんが言った甘美なる対価の本当の意味に気づいてしまいました。
それは、愛する人と過ごせるはずだった未来の時。
赤ちゃんを授かった対価は、世界で最も愛する人の命だったのです。