澄んだ赤い空の元で、何も考えずに踏切に立っているのはただ1人
「…瑞さんは今頃何をしているのかな?」
誰もいないこの場所で、1人呟く
意味など何も無いのに呟く
願いなど叶うはずないのに
「…瑞さんはもうここにはいないのにね、」
そんなくだらないことを呟く
彼は、今か今かと誰かを待っている
まるで霊が見えるかのように話しかけている
「…いつ帰ってくるのさ…」
言葉を投げかけても誰も返しはしない
死者達はずっと誰かの帰りを待っている
耳鳴りがなったと同時に踏切から彼が消え、彼女が現れた
「…ただいま」
空を見上げると、澄んだ赤い空が嘲笑っていた
「…ほんとムカつく」
この赤い空が変わることは無い
誰もこの空を変えようとしない。それが決まりだから
「…みんなは何してるのかな」
そんなくだらないことを呟く
彼女は、今か今かと誰かの帰りを待っている
その声は誰にも聞こえない
「…あのバカはいつ帰ってくるのやら」
言葉を投げかけても誰も返しはしない
生者達はずっと誰かの帰りを待っている
耳鳴りがなったと同時に部屋から彼女の姿が消え、彼が現れた
「…ただいま」