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それからというもの、ちょこちょこドレークさんと話す機会が増えた。
例えば食堂で会えば一緒にご飯を食べるようになったし、廊下でばったり会った時はそのまま雑談をしたりするようになった。たまに資料整理のお手伝いも頼まれる。海軍優しい人しかいなくて最高だな。
「海軍になる気はないのか?」
そう色んな人に聞かれるが、俺は毎度首を横に振っている。ここに来る前も思っていたが、俺は海軍にも海賊にもなる気はないのだ。気ままに、のんびりと海を流離う旅人になりたいんだよ。でもお手伝いならいい。
「ガープさん、今日はどこに行くんですか?」
「ローグタウンじゃ」
「ローグタウン……」
ローグタウンって東の海だよな。グランドラインへ行く時の玄関口となる町。ゴール・D・ロジャーが処刑された場所。そこに行けるのはちょっと楽しみかも。
ガープさんの軍艦に乗り、ローグタウンへ向かう。海軍の軍艦はやはり大きくて豪華である。
「ローグタウンに何しに行くんですか?」
「ローグタウン支部にしかない書類を取りに行けと言われたんじゃ。全く面倒臭いわい」
「…俺もついていきますか?」
「いや、いい。ローグタウンを好きに観光してこい」
そう言われてしまったので、ありがたく観光することにした。
いろんな店があるしなぁ。本屋とかあるかな? あ、その前に海賊王が処刑された、あの処刑台を見てみるか。
ローグタウンの街を歩く。ここは活気があっていい街だ。あちこちから美味そうな匂いが漂ってくる。でも昼飯はどうせならガープさんとかと一緒に食いたいなー。
処刑台を見上げながら、俺はのんびりと昼食について考えていた。
「にしても…」
ガラが悪そうな奴が多いな……。でもこれでもマシになった方なんだっけ? スモーカーが仕切るようになってから治安が良くなったんだっけ? 本人の治安は悪そうなのにな!(ド失礼)
そんなことを思いながら歩いていると、突然横から男が飛び出してきた。俺は反射的に避ける。すると男は俺の横を大きな舌打ちをしてから走り去っていった。えぇ……。なんかめっちゃ睨まれたんだけど……。俺ただ歩いてただけなんだが?
もしかしなくても今絡まれそうだったんだろうか。見た目がなよなよしてんのかね。母親に似て金髪碧眼の王子様ルックスになっちゃったからなぁ。髪が長いのはただ単純に短髪が似合わないしな。童顔なのも悪いんだろうか。めんどくせ~、絡まれないようにしよう。
そう考えていたのだが、今度は前からまた違う男たちが現れた。
「おい、兄ちゃん」
「…俺のことですか?」
「そうだ。お前以外に誰がいるってんだ」
ですよね~。
「俺たちこれから用事があるんだわ。だから金出せよ」
「……お金ないです」
「嘘つくんじゃねぇ!」
そう言って拳を振り上げる男。あ、これ殴るつもりだわ。仕方ない、正当防衛ということで一発殴られておくか。
そう思って目を瞑って歯を食いしばったのだが、いつまで経っても衝撃は来なかった。だが男の呻き声は聞こえる。言っておくが俺はまだ何もしていない。
「…煙草の、匂い…?」
俺は恐る恐る目を開ける。目の前には〝正義〟の2文字があった。
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